高市早苗氏の『積極財政』が日本経済に与える影響とは?

高市早苗氏の『積極財政』が日本経済に与える影響とは?

◆ プロローグ

ふわふわと綿毛が舞うような雲の上、そこはふわふわ星の王、Tが治めるお城の一室。 ティータイムの干し草をもぐもぐしながら、プリンセスのCは少し不満そうな顔をしていました。

C「むー……。今日の干し草、いつもより少ない気がする……。あたち、プリンセスなのに!りんごも半分こだし!もっと、こう、わーって食べたいのに!」

ぴょんぴょん!と不満げに跳ねるCを見て、玉座でイチゴを頬張っていた王様Tは、威厳たっぷりに、しかし優しく声をかけます。

T「こらこら、Cよ。落ち着きのない子じゃな。国の財政も考えず、おやつを無限に配るわけにはいかんのじゃ」

C「ざいせい?なあに、それ?美味しいの?国だってお金いっぱい持ってるんでしょ?だったらもっと使えばいいのに!そうすれば、あたちの干し草もりんごも、みーんなのお給料だって増えるんじゃないの?」

その言葉に、Tはキラリと目を光らせました。

T「ほう……。それは面白い視点じゃな、C。お主が今言ったことこそ、まさに今、人間たちの国で議論されておる『積極財政(せっきょくざいせい)』という考え方そのものなのじゃ!」

◆ 「積極財政」って、どんどんお金を使うこと?

C「せっきょくざいせい!なんだか元気が出そうな名前!それって、国がお金をいーっぱい使って、みんなをハッピーにするってこと?」

T「うむ、一言で言えばそうじゃな。国が公共事業(新しいニンジン畑を作ったり、うさぎが跳びやすい道を整備したり)にお金を使ったり、国民にお金を配ったり(給付金)、税金を安くしたり(減税)して、世の中に出回るお金の量を増やす。そうして景気を良くしようというのが『積極財政』の考え方じゃ」

C「へぇー!それ、すっごくいいじゃん!じゃあ、反対の考え方もあるの?」

T「いかにも。それが『緊縮財政(きんしゅくざいせい)』じゃな。これは、国の借金を減らすことを優先して、政府の支出を抑えたり、税金を上げたりする考え方じゃ。『未来のために、今はおやつの干し草を我慢しよう』というのが緊縮財政、『今みんながお腹を空かせているなら、まずはおやつを配ろう』というのが積極財政、とイメージすると分かりやすいかの?」

C「なるほどー!あたちは、今おやつを配ってほしい派!」

TはCの元気な答えに頷きながら、話を続けます。

T「そして人間界の日本には、その『積極財政』を強く主張しておる政治家がおる。それが、高市早苗さんという人物なのじゃ」

◆ 高市さんと「おやつのための我慢、一旦やめよう!」宣言

C「たかいちさん!知ってる!ニュースで見たことある!その人が『積極財政』派のリーダーなの?」

T「うむ。高市さんはかねてより『日本はデフレ(※モノの値段が下がり続ける不景気)から完全に脱却できていない。もっと政府がお金を使って経済を成長させるべきだ』と主張しておるのじゃ。その中でも特に注目されているのが、『プライマリーバランス黒字化目標の凍結』という主張じゃな」

C「ぷらいまりーばらんす……?あたちの右手みたいに白い呪文?」

T「はっはっは。違うわい。簡単に言えば、『プライマリーバランス(PB)黒字化目標』とは、『国のお金のやりくりを、借金に頼らず税収だけでやれるようにしましょうね』という目標のことじゃ。家計で言えば、『来年、新しいニンジンジュースミキサーを買うために、今年は毎月おやつ代を節約して貯金しましょうね!』という感じかのう」

C「ふむふむ。ちゃんとしてて偉い目標な気がするけど?」

T「うむ。それ自体は悪いことではない。しかし高市さんはこう考えておる。『そもそも今、みんながお腹を空かせて元気がないのに、来年のミキサーのために節約して、もっと元気がなくなったら意味がないではないか!まずはいっぱい食べて元気になろう!ミキサーのことは元気になってから考えればよい!』とな。これが『目標の凍結』、つまり、一旦その目標をお休みして、今は景気を良くすることにお金を使いましょう、という考え方なのじゃ」

◆ で、結局あたちのお給料(干し草)は増えるの?

Cはぴょこんと耳を立て、一番聞きたいことをキラキラした目でTにぶつけました。

C「わかった!理屈はなんとなくわかった!でね、一番大事なことなんだけど、その『積極財政』になったら、あたちの干し草やりんごは本当に増えるの!?人間さんたちのお給料も上がるの!?」

これぞCの核心を突く質問。Tは満足げに頷きます。

T「良い質問じゃ、C。それこそが最大の焦点じゃからの。積極財

政の狙いは、まさにそこにある。国がお金を使うことで、新しい仕事が生まれる。例えば、国が『巨大ニンジンタワーを建てるぞ!』と決めれば、タワーを建てるうさぎ、ニンジンを運ぶうさぎ、設計するうさぎに仕事とお金が渡るじゃろ?」

C「うんうん!」

T「仕事を得たうさぎたちは、お給料で新しい干し草を買ったり、りんごジュースを飲んだりする。そうすると、干し草屋さんやりんごジュース屋さんが儲かる。儲かったお店は、もっとうさぎを雇ったり、バイトうさぎのお給料を上げたりするかもしれん。こうして、世の中全体にお金がぐるぐる回り始めて、景気が良くなり、結果としてみんなのお給料も上がっていく……というのが、積極財

政が目指す理想の形なのじゃ」

C「おおー!夢みたい!お金がぐるぐる!ニンジンタワー!素敵!」

ぴょんぴょん跳ねて喜ぶC。しかし、TはそんなCを優しく、しかし真剣な目で見つめます。

◆ いいことばっかりじゃない?王様が語るリスク

T「待て待て、Cよ。話はそう単純ではない。もし、いいこと尽くめなら、とっくにどの国もそうしておるわ。この政策には、大きなリスクも伴うのじゃ」

C「えっ、そうなの!?どんなリスク?」

T「一番は、国の借金がさらに増えることじゃ。国がお金を使うということは、その分、誰かからお金を借りる(国債を発行する)ということ。借金が増えすぎると、国の信用が揺らいで、将来大変なことになるかもしれん」

C「ふえぇ……借金……。」

T「もう一つは、悪いインフレの危険じゃ。お金が出回りすぎて、モノの価値が上がりすぎてしまうことじゃな。例えば、今日りんごが1個100円で買えたのに、来月には1個500円、再来月には1個1000円になったらどうする?お給料が上がるスピードよりも、モノの値段が上がるスピードが速かったら、生活はむしろ苦しくなってしまうじゃろ」

C「やだ!りんごが1000円なんてやだーっ!そんなの買えないよぉ!」

T「そうじゃろう。何事も『過ぎたるは猶及ばざるが如し』。積極財政は、いわばカンフル剤。元気のない時には効果的な薬じゃが、元気な時に打ち続けたり、量を間違えたりすれば、逆に体を壊してしまう劇薬にもなり得るのじゃ」

◆ 結論:結局、どっちがいいの?

すっかりしょんぼりしてしまったC。

C「うーん……。じゃあ、結局『積極財政』って、良いの?悪いの?どっちなの、T様?」

TはCの頭を優しく撫でました。

T「Cよ。それは、今の日本の経済がどのような状態かによる、というのが答えじゃ。そして、専門家の間でも意見が真っ二つに割れておる」

  • 積極財政派は、「日本はまだ病み上がり(デフレ)。ここで薬(財政出動)をケチったら、また病気がぶり返してしまう。まずはしっかり体力をつけることが最優先だ!」と主張する。
  • 緊縮財政派は、「いやいや、もう熱は下がっている(デフレは脱却しつつある)。これ以上薬を飲んだら副作用(悪いインフレや財政破綻)が怖い。そろそろ薬を減らして、健康的な生活(財政再建)を目指すべきだ!」と主張する。

T「どちらの言い分にも一理ある。だからこそ、難しい問題なのじゃ。朕が王として君臨するふわふわ星では、イチゴの収穫量で全てを決めるから単純明快なのじゃがな」

C「そっかぁ…。あたち、むずかしいことはわかんないけど、自分のおやつとか、みんなのお給料に関わることなんだってことは、よーくわかった!」

T「うむ、それが一番大事なことじゃ。政治や経済は、遠い世界の難しい話ではない。我々一人ひとりの生活に直結しておる。だからこそ、自分の耳でしっかりと話を聞いて、自分の頭で『私たちの暮らしにとって、どっちが良いんだろう?』と考えることが、王女になるお主にとっても、国民にとっても、何より大切なのじゃぞ」

Tの言葉に、Cは大きく頷きました。 今日のおやつは少し少なかったかもしれないけれど、その代わりに、自分の未来に関わる、とても大切で、ちょっぴり難しい知識を学ぶことができたのでした。


◆ ナレーターのまとめ:今日の用語解説

  • 積極財政(せっきょくざいせい)
    • 政府が公共事業や減税などでお金をたくさん使い、景気を良くしようとする政策のこと。メリットは景気回復への期待、デメリットは国の借金増加や悪いインフレのリスク。
  • 緊縮財政(きんしゅくざいせい)
    • 政府がお金を使うのを控えたり、税金を上げたりして、国の借金を減らすことを優先する政策のこと。財政の健全化が期待される一方、景気を冷え込ませてしまうリスクがあります。
  • プライマリーバランス(PB)
    • 基礎的財政収支のこと。国や地方の収入(税収など)と、支出(政策に必要なお金)のバランスを示す指標です。「PB黒字化」とは、過去の借金の元本・利払いを除いた上で、その年の支出をその年の税収だけで賄えている状態を指します。これを目標にすることが、財政規律の指標とされています。