逆張りETFとは?メリット・リスク・使いどころを超わかりやすく解説

逆張りETFとは?メリット・リスク・使いどころを超わかりやすく解説

ここは宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星「ふわふわ星」。この星では、フワフワの王「てち王」と、その妹で元気いっぱいのプリンセス「ちろ姫」が暮らしていました。今日も、ふわふわなお城の広間で、経済のお勉強が始まるようです。


みんなと同じが安心?ブームの裏に潜むもの

ちろ姫: 「てち王お兄様〜!大変!大変でしゅ!今、星のみんなが『キラキラ虹色ニンジン』に夢中なの!あたちも早く買わないと乗り遅れちゃう!お店に連れてって〜!」

てち王: 「ふむ…ちろ姫よ、落ち着け。ぴょんぴょん跳ねると床が抜けるぞ。して、なぜその『キラキラ虹色ニンジン』とやらが欲しいのだ?」

ちろ姫: 「だって、みんなが持ってるもん!持ってるだけで人気者になれるって!ぴょんぴょん通信(ふわふわ星のSNS)でも、毎日すごい勢いで値上がりしてるって話題でしゅ!」

てち王: 「ほう…『みんなが持っているから』か。ちろ姫よ、よく聞くのじゃ。王女たるもの、群れの動きに惑わされてはならん。皆が同じ方向に走っている時こそ、そこに落とし穴があるやもしれんのじゃぞ。」

ちろ姫: 「落とし穴?でも、みんなと一緒だと安心でしゅよ?」

てち王: 「その『安心感』が最も危険なのじゃ。投資の世界では、多くの人々が熱狂して何かを買い漁っている時は、価格が本来の価値以上に吊り上がっていることが多い。朕は、そういう時こそ、誰も見向きもしなくなった『泥付きの普通の人参』にこそ価値があると考えておる。」

ちろ姫: 「えぇ〜?泥だらけのニンジンなんて、美味しくないでしゅ…」

てち王: 「今は、な。だが、泥を洗い流せば、実はそれが一番甘くて栄養があるかもしれん。このように、市場の人気とは逆の行動をとることを『逆張り』と言うのじゃ。今日はこの『逆張り』について教えてやろう。」

逆張りの甘い蜜と、痛いワナ

ちろ姫: 「ぎゃくばり…?じゃあ、流行りの虹色ニンジンを買わずに、誰も欲しがらない泥付きニンジンを買うことでしゅか?」

てち王: 「うむ、理解が早くてよろしい。皆が熱狂して買っている流行りのものに乗っかるのを『順張り』、その逆が『逆張り』じゃ。」

ちろ姫: 「へぇ〜!でも、どうしてわざわざ人気のない方を選ぶんでしゅか?損しちゃいそうでしゅけど…」

てち王: 「良い質問じゃな。逆張りの最大の魅力は、『安く買って、高く売れる』可能性を秘めていることじゃ。皆がパニックになって『もうこのニンジンはダメだ!』と投げ売りしている時に安く買い集め、やがてその価値が見直されて価格が元に戻った時に売れば、大きな利益…つまり、たくさんのニンジンを得られるのじゃ。」

ちろ姫: 「わーい!ニンジンがたくさん!あたち、逆張りやる!」

てち王: 「待て待て、落ち着かぬか。話はまだ終わっておらん。逆張りには、甘い蜜だけでなく、恐ろしいワナもある。それは『落ちてくるナイフを素手で掴む』ようなもの、とも言われておる。」

ちろ姫: 「ナイフ!?こわい!」

てち王: 「うむ。人気がなくなって価格が下がっているものには、本当に価値がなくなってそのまま下がり続けるものもある。価値が回復すると信じて買ったものが、さらに下がり続け、結局ただの腐ったニンジンになってしまう…というリスクじゃ。それに、周りが儲かっている中で自分だけが損をしている状況は、精神的にもかなりキツいぞ。ひとり寂しく、泥付きニンジンをかじり続ける覚悟が必要なのじゃ。」

孤独な逆張りの心強い味方?「逆張りETF」

ちろ姫: 「うぅ…ひとりで泥付きニンジンは寂しいでしゅ…。それに、どのニンジンが将来甘くなるかなんて、あたちには分からない…」

てち王: 「ふっふっふ。そんなお前のような子うさぎのために、便利な道具がある。それが今日の主題、『逆張りETF』じゃ。」

ちろ姫: 「ぎゃくばりいーてぃーえふ?」

てち王: 「うむ。ETFというのは、色々な資産(この場合は株)を詰め合わせたお弁当パックのようなものじゃったな。逆張りETFは、その中でも『市場で売られすぎている銘柄を自動的に見つけてきて、買い集めてくれる』という戦略をとる、少し変わったお弁当パックなのじゃ。」

ちろ姫: 「すごーい!自動で泥付き優良ニンジンを探してくれるんでしゅね!…あれ?でもそれって、前に聞いた『相場が下がると儲かる』っていうのと同じでしゅか?」

てち王: 「(ギクッ)…ち、ちろ姫、それは素晴らしい着眼点じゃが、全く違う!それは『ベア型(インバース型)ETF』というものじゃ!朕の話をよく聞け!」

(ちろ姫の鋭い質問にてち王は少しタジタジです)

てち王: 「コホン。ベア型ETFは、単純に市場全体が『下がる』ことに賭ける道具じゃ。一方、逆張りETFは、市場の中でも『不当に売られすぎているものが、いずれ適正な価格に“戻る”だろう』という反発力を狙うもの。下がること自体を喜ぶのではなく、下がりすぎた後の復活を期待する、という点で全くの別物なのじゃ。分かったか?」

ちろ姫: 「なんとなく…じゃあ、逆張りETFはいつ使うと効果的なんでしゅか?」

てち王: 「それは、市場全体がパニックになっている暴落時じゃな。皆が恐怖で我先にと資産を投げ売りしている時こそ、逆張りETFは黙々と割安になったものを拾い集め、その後の市場の回復局面で大きな力を発揮する可能性がある。逆に、ずーっと同じ方向に相場が動き続ける『トレンド相場』は苦手じゃ。例えば、虹色ニンジンブームが延々と続くような状況では、なかなか成果が出にくい。」

ちろ姫: 「でも、『売られすぎ』ってどうやって判断するんでしゅか?」

てち王: 「良いところに目をつけたな。例えば『RSI(相対力指数)』というメーターがある。これを『うさぎたちの人気投票メーター』と考えてみよ。メーターが下に振り切れていれば『不人気すぎ(売られすぎ)』、上に振り切れていれば『人気すぎ(買われすぎ)』と判断する材料になる。逆張りETFの中には、こういった指標を参考に売買するものもあるのじゃ。」

ちろ姫: 「なるほど〜!じゃあ、あたちの貯金全部を逆張りETFに…」

てち王: 「ならん!逆張りETFは、あくまでポートフォリオの『スパイス』として考えるべきじゃ。お前の資産のメインは、あくまでコツコツ育てる干し草畑(インデックスファンドなど)じゃ。その一部で、少し刺激的なリンゴの木(逆張りETFなどのアクティブな投資)を育ててみる、という感覚が大切じゃ。これを『サテライト戦略』と言う。」

ちろ姫: 「じゃあ、あのキラキラの箱(新NISA)で、スパイスを買うことはできましゅか?」

てち王: 「うぐぐ…(またもや鋭い質問…!)。もちろん、成長投資枠を使えば買えるものはある。じゃが、しかし…!逆張りETFは比較的短期での売買を考える戦略じゃ。NISAの非課税メリットは長く持つほど効果を発揮するからのぅ…そのメリットを十分に活かせない可能性も…ある…(しどろもどろ)。」

ちろ姫: 「ふーん。あと、その特別なETFって、管理料はお高いんでしゅか?」

てち王: 「(な、なぜそこまで…)うむ。特別な戦略をとる分、一般的なインデックスファンドに比べると、信託報酬(管理料)は少しお高めに設定されておるのが普通じゃ…。」

逆張りETFは上級者向けの飛び道具

てち王: 「…というわけじゃ、ちろ姫。逆張りETFは、市場のパニックをチャンスに変える力を持つ、魅力的な道具ではある。しかし、その分リスクも高く、使いこなすには知識と、市場の熱狂から距離を置く冷静な判断力が必要なのじゃ。初心者がいきなり手を出す『主食』ではない。あくまで『スパイス』じゃぞ。」

ちろ姫: 「はーい!よく分かりました!あたち、まずは干し草とリンゴをしっかり育てて、お城をニンジンでいっぱいにする!でも、いつかお兄様みたいに、泥付きニンジンの中からお宝を見つけられるようになりたいでしゅ!」

てち王: 「うむ、その意気じゃ。よく学び、よく食べ、立派な王女になるのじゃぞ。さぁ、褒美にニンジンをやろう。」

ちろ姫: 「わーい!おやつ!おやつ!」

こうして、ちろ姫はまた一つ、大人の階段をのぼったのでした。逆張りETFは、その特性をよく理解し、自分の投資戦略の一部として慎重に取り入れることが大切です。皆さんも、周りの熱狂に流されず、自分自身の頭で考えることを忘れないでくださいね。


【本日の用語解説】

  • 逆張り投資: 市場全体の人気やトレンドとは逆の方向に投資する手法。価格が下落している時に買い、上昇している時に売るのが基本。
  • 順張り投資: 市場のトレンドに従って投資する手法。価格が上昇している時に買い、下落している時に売る。
  • 逆張りETF: 市場で割安(売られすぎ)と判断される銘柄群に投資する戦略をとるETF。
  • ベア型(インバース型)ETF: 日経平均株価などの指数が「下落」すると、利益が出るように設計されたETF。逆張りETFとは狙いが異なる。
  • RSI (相対力指数): テクニカル指標の一つ。「買われすぎ」か「売られすぎ」かを判断するために使われる。一般的に70〜80以上で買われすぎ、20〜30以下で売られすぎとされる。
  • サテライト戦略: 資産の中核(コア)を安定的なインデックスファンドなどで運用し、一部(サテライト)で少しリスクの高い積極的な投資を行うポートフォリオ戦略。