積立投資は月いくらから?無理しない資産形成のはじめ方

ここは宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星「ふわふわ星」。この星では、お金の代わりにピカピカの「ニンジン」が使われています。
今日の主役は、ふわふわ星のプリンセス、ちろ姫。元気いっぱいですが、まだ生まれたばかりであまり物事を知りません。右手だけが真っ白なのがチャームポイントです。
ちろ姫:「むにゃむにゃ…あ!お兄たま!」
ぴょこんと飛び起きたちろ姫が見つけたのは、威厳たっぷりの兄、てち王。白と茶色の毛が混じった、それはそれはフワフワな王様です。
てち王:「ちろ姫よ、またおやつの夢でも見ていたか?よだれがすごいことになっておるぞ。」
ちろ姫:「違うもん!あたち、将来住みたいお家の夢を見てたの!虹色にキラキラ光る、雲のお城なの!ニンジン100万本くらいで買えるかなぁ?」
無邪気に笑うちろ姫に、てち王は優しくも真剣な眼差しを向けます。
てち王:「ふむ。壮大な夢だな、ちろ姫。だがな、ただニンジンを壺に貯めているだけでは、その夢は叶わぬかもしれんぞ。」
ちろ姫:「えーーーっ!?なんでなんで?」
てち王:「このふわふわ星でも、物の価値は少しずつ上がっておる。昔はニンジン1本で買えたリンゴが、今では2本必要になる…というようにな。これを『インフレ』という。つまり、お前が大人になる頃には、お城はニンジン100万本では買えなくなっている可能性が高いのだ。」
ちろ姫:「そんなのずるいーっ!じゃあ、あたちの夢は叶わないの…?」
目に涙を浮かべる妹を見て、てち王はフワフワの頭を優しく撫でました。
てち王:「案ずるな。だからこそ、朕たちがニンジンをただ貯めるのではなく、『育てる』必要があるのだ。今日はその第一歩、『いくら積み立てるか』について教えてやろう。」
積立の前に、絶対にやるべき2つのこと
ちろ姫:「わかった!育てるのね!じゃあ、あたちのニンジン、今日から全部育てる!畑に埋めてお水をあげる!」
てち王:「待て待て待て。落ち着くのだ、ちろ姫。お前の発想はいつも斜め上を行くな…。投資というのはニンジンを土に埋めることではない。そして、持っているニンジンを全てつぎ込むなど、もってのほかだ。」
てち王は、一つ咳払いをして、話を続けます。
てち王:「よいか。ニンジンを『育てる』、つまり積立投資を始める前には、必ずやっておくべき準備が2つある。これを怠ると、いざという時に大変なことになるから、しかと聞くのだ。」
【準備①】生活防衛資金を確保する
てち王:「まず一つ目は『生活防衛資金』の確保だ。これは、万が一大雨が続いてニンジンの収穫ができなくなったり(=お給料が途絶えたり)、病気やケガで動けなくなったりした時のための、いわば『冬眠用の食料』だ。」
ちろ姫:「冬眠!あたち、冬眠しないもん!」
てち王:「例えだ、例え。このニンジンがあるおかげで、何かあっても慌てて育てている途中のニンジン(=投資信託など)を売らずに済む。目安としては、お前が毎月食べるニンジンの数(=生活費)の、最低でも3ヶ月分、できれば半年から1年分あると安心だな。」
【準備②】自分が使うニンジンの量を把握する
てち王:「そして二つ目。お前は毎月、自分が何本のニンジンを食べ、何本のニンジンをもらっているか、正確に把握しておるか?」
ちろ姫:「うーん…おやつの時間はわかるけど…。あとは、お腹が空いたら食べてるから、わかんない!」
てち王:「それじゃいかん。まずは『家計の見える化』だ。難しく考えず、一ヶ月で良いから『おこづかい帳』ならぬ『おやつ帳』をつけてみるのだ。そうすれば、自分が何にどれくらいニンジンを使っているかが見えてくる。無駄に食べている干し草が見つかるやもしれんぞ。」

あなたに合った積立額の見つけ方
ナレーター:ちろ姫はてち王に教えられた通り、一ヶ月間、食べたニンジンの数を記録しました。すると、意外なことにお城の模型や可愛いリボンにたくさんのニンジンを使っていることがわかったのです。
ちろ姫:「お兄たま!あたち、ニンジンを何本使ってるかわかったよ!」
てち王:「うむ、よくやった。ではいよいよ本題だ。いくら積み立てるかを決めていこう。ここで、ふわふわ星の王家に伝わる黄金ルールを授けよう。」
『収入 − 貯金(投資) = 支出』
てち王:「多くの者は『収入から支出を引いて、残ったら貯金』と考える。だが、それではいつまで経ってもニンジンは貯まらん。プリンセスたるもの、『まず将来のために積み立てる分を確保し、残ったニンジンで生活する』のだ。これを『先取り貯金』と言う。覚えておけ。」
ちろ姫:「えー!先に取られちゃうの!?そしたら、今月買おうと思ってたリンゴが買えなくなっちゃうかも…。」
てち王:「安心しろ。だからこそ、無理のない範囲で始めるのが肝心なのだ。一般的な目安は『手取り収入の1割〜2割』と言われておる。だが、まずはニンジン1本からでも良い。月1,000円からでも良いのだ。なぜなら、積立投資は『複利』という、雪だるま式にニンジンが増えていく仕組みを使うからな。小さくても早くから転がし始めた雪だるまは、後から大きな塊で始めるより、ずっと大きくなる可能性があるのだ。」
さらに、てち王はふわふわ星の国の制度についても教えてくれました。
てち王:「しかも、ふわふわ星には『NISA』という素晴らしい制度がある。これを使えば、育って増えた分のニンジンに税金がかからんのだ。国も皆の夢を応援してくれておる。使わぬ手はないぞ。」
もし、ニンジンがしなびてしまったら…?
積立額の決め方を学び、やる気になったちろ姫。しかし、一つ大きな不安が頭をよぎりました。
ちろ姫:「ねぇ、お兄たま。もし、あたちが預けた大事なニンジンが、しなびちゃったら(=価値が下がったら)どうするの?全部なくなっちゃったら、悲しくてぴょんぴょん飛べなくなっちゃう…。」
天然なちろ姫の言葉でしたが、それは投資をする誰もが抱く、本質的な不安でした。
てち王:「良い質問だ、ちろ姫。確かに、ニンジンの価値は日々変動する。だが、我々のように毎月決まった額を積み立てる者にとって、それは必ずしも悪いことではないのだ。」
ちろ姫:「??? ニンジンがしなびるのが良いことなの?」
てち王:「うむ。考えてみよ。ニンジンの値段が安い時、同じ金額でたくさんのニンジンが買えるだろう?逆に高い時は少ししか買えん。これを長く続けると、結果的にニンジン1本あたりの平均購入価格を抑えることができる。これを『ドルコスト平均法』と呼ぶ。だから、途中で価値が下がっても慌てて売らず、どっしりと構えて積立を続けることが、王女の気品というものだ。」
てち王は続けます。
てち王:「積立額は、一度決めたら永遠に変えてはならぬ、というものではない。お前が大きくなって、たくさんのニンジン畑を任されるようになった時(=昇給した時)や、生活の形が変わった時に、また見直せば良いのだ。大切なのは、無理なく、長く続けること。それこそが、虹色のお城への一番の近道なのだぞ。」
小さなプリンセスの、大きな一歩
てち王の話を全て聞き終えたちろ姫は、目をキラキラと輝かせていました。難しい言葉もたくさんありましたが、大好きなお兄たまが自分の夢を真剣に応援してくれていることが、何より嬉しかったのです。
ちろ姫:「お兄たま、ありがとう!あたち、わかった!虹色に光る雲のお城のために、あたち、やってみる!まずは毎月、我慢できそうなおやつの分だけ、ニンジンをコツコツ育てることにする!」
力強く宣言する妹を見て、てち王は満足そうに頷きました。そして、そのフワフワの頭を、これまでで一番優しく、そっと撫でました。
てち王:「うむ。それでこそ、ふわふわ星のプリンセスだ。お前のその小さな一歩が、未来の大きな夢に繋がっておる。…お前の夢の城が建つのを、朕も楽しみにしているぞ。」
兄の温かい言葉に、ちろ姫の心はポカポカと温かくなりました。 ふわふわ星に吹く優しい風が、小さなプリンセスの大きな決意を、そしてそれを見守る王様の優しい眼差しを、そっと包み込んでいました。
まとめ&用語解説
いかがでしたか?ちろ姫と一緒に、積立額の決め方の基本を学べたのではないでしょうか。今日の物語に出てきた大切な言葉を、ここでおさらいしておきましょう。
- 生活防衛資金
- 病気や失業など、予期せぬ事態で収入が途絶えた時に生活を守るためのお金。一般的に、生活費の3ヶ月〜1年分が目安とされます。投資を始める前に、まずはこちらを確保しましょう。
- 先取り貯金(投資)
- お給料が入ったら、使う前に貯金や投資に回すお金を別の口座などに移してしまうこと。「余ったら貯金」ではなかなか貯まらないため、確実にお金を貯めるための基本となる考え方です。
- 新NISA
- 2024年から始まった個人のための税金優遇制度。この制度を使って得た投資の利益(配当金、分配金、譲渡益)には税金がかかりません。使わないと損、と言われるほど強力な制度です。
- ドルコスト平均法
- 価格が変動する金融商品を、常に一定の金額で、時間を分散して定期的に買い続ける手法。価格が高い時には少なく、安い時には多く買うことになるため、平均購入単価を平準化させる効果が期待できます。
まずは無理のない範囲で、あなただけの「ニンジン積立計画」を始めてみませんか?
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