複利の力を最大化する:初心者でもわかる“利息が利息を生む”資産運用の仕組み

宇宙のどこかにある、何もかもが“ふわふわ”な惑星、その名も「ふわふわ星」。この星のお城では、今日も歳の離れたうさぎの兄妹が何やら話しているようです。
ニンジンを増やす魔法?
ちろ姫「わーい!見てみて、てち兄様!今日収穫したニンジン、ぜーんぶあたちのだー!もぐもぐ…」
てち王「こら、ちろ。一度に全部食べてしまうでない。それはお前の将来のためのおやつでもあるのじゃぞ」
ちろ姫「えー!でも、お腹すいたんだもん!今食べたいの!」
てち王「ふむ…やれやれ。ちろよ、お前はプリンセスなのじゃから、目先の食欲に負けていてはならぬ。良いことを教えてやろう。そのニンジンを、もっとたくさんに増やす『魔法』があるのじゃが…興味はあるか?」
ちろ姫「まほう!?ニンジンが増えるの?お菓子のお城が作れるくらい!?」
ぴょんぴょんと飛び跳ねるちろ姫を見て、ふわふわ星の王、てち王は優しく微笑みます。
てち王「うむ。お菓子のお城も夢ではないかもしれんな。その魔法の名は…『複利』という」
ニンジンがニンジンを産む仕組み
ちろ姫「ふくり…?なにそれ、美味しいの?」
てち王「食べるものではないわ。よいか、ちろ。ここに100本のニンジンがあるとする。これを『ふわふわ銀行』に預けると、1年後に利息として5本のニンジンがもらえる。これが『単利』じゃ」
ちろ姫「ふーん。じゃあ、2年後はまた5本もらえて、合計10本増えるってこと?」
てち王「その通りじゃ。…だがな、『複利』はもっとすごい。最初の1年で増えた5本のニンジンを、もともとの100本に加えてしまうのじゃ。つまり、元手が105本になる」
ちろ姫「へぇー!」
てち王「そして2年目は、その105本のニンジンに対して5%の利息がつく。つまり、次の年にもらえるのは5.25本…と、もらえるニンジンが少しずつ増えていく。これを『利息が利息を生む』といい、まるでニンジンがニンジンを産んでいるようじゃろ?」
てち王は、庭の隅にある小さな雪玉を指差しました。
てち王「『複利』は、よく雪だるまに例えられる。最初は小さな雪玉でも、坂道をコロコロ転がしていくうちに、周りの雪を巻き込んでどんどん大きくなっていくじゃろ?資産が増えるのも、あれと同じ原理なのじゃ」
ちろ姫「うーん…でも、5本が5.25本になったって、あんまり変わらない気がする…あたち、もうリンゴ食べていい?」
てち王「まあ待て、落ち着きのない姫じゃな。この『福利』の本当の力は、3つの魔法が揃ったときに発揮されるのじゃ!」
複利を加速させる3つの魔法と、驚きの未来
てち王は、威厳たっぷりに3本の指を立てました。
てち王「よいか、ちろ。一つ目の魔法は『元本』。最初に転がす雪玉の大きさ、つまり最初のニンジンの量じゃな。これが大きいほど、雪だるまは早く大きくなる」
てち王「二つ目の魔法は『利率』。これは雪がつきやすい坂道かどうか、つまりニンジンの育ちやすさじゃ。年利2%の道より、年利5%の道の方がぐんぐん育つ」
てち王「そして、最も強力な三つ目の魔法…それは『期間』じゃ。つまり、雪だるまを転がす時間。この時間が長ければ長いほど、雪だるまは想像もつかないほど巨大になる!」
ちろ姫「じかん…?」
てち王「そうじゃ。だからこそ、お前のように若いうちから始めるのが圧倒的に有利なのじゃ。例えば、ちろが今から始めて30年続けた場合と、朕が10年後から始めて20年で頑張った場合では、最終的に手にするニンジンの量に大きな差がつく」
てち王は得意げに言いました。
てち王「ちなみに、資産が2倍になる年数がわかる『72の法則』という呪文もあるぞ。72を利率で割るだけじゃ。例えば年利5%なら、72 ÷ 5で約14.4年。つまり14年ちょっとでニンジンが倍になる計算じゃな」
ちろ姫「へぇ!それはちょっと面白いかも!」
てち王「では、本番といこうか。ちろよ、もしお前が毎月のおやつを少しだけ我慢して、毎月3万ニンジン(円)を、年利5%の畑で30年間育て続けたら、ニンジンは何本になると思う?」
ちろ姫「えーっと…毎月3万だから…1年で36万で…30年だから…えいっ!1080万本!」
てち王「ブッブー!それは、ただ貯金箱にニンジンを貯め続けた場合、つまり『元本』の合計じゃな。正解は…なんと約2,780万ニンジンじゃ!」
ちろ姫「に、にせんななひゃくはちじゅうまん!?あたちの計算した倍以上じゃない!なんで!?」
てち王「それこそが、時間をかけて元本を積み立てていった結果、複利の雪だるまが巨大になった証拠じゃ。自分で貯めた1,080万ニンジンに加えて、ニンジンが産んでくれたニンジン(利息)が約1,700万本にもなったということじゃな。これだけあれば、お菓子のお城も建てられそうじゃろ?」
ちろ姫は、口をあんぐり開けて、目の前にニンジンの山がそびえ立つ様子を想像していました。
てち王「このような複利の力を借りやすいのが、『投資信託』や『株式』といったものじゃ。逆に、今のふわふわ星の『銀行預金』は、利率がとても低いので、雪だるまはほとんど大きくならん。それどころか、注意しないとニンジンの価値が下がってしまう『インフレ』というモグモグ虫に、価値を食べられてしまうこともあるからのう」

未来のための、今日の小さな一歩
ちろ姫「いんふれ…?モグモグ虫…?難しいことはわからないけど、ニンジンがニンジンを産むのはわかった!あたち、将来プリンのお風呂に入るために、おやつを少し我慢して、ニンジンを育てる!」
てち王「うむ、それでこそ朕の妹じゃ。早く始めれば始めるほど、時間の魔法が強力な味方になってくれる。今日我慢した一本のニンジンが、未来のちろにたくさんのリンゴや干草を運んできてくれるのじゃぞ」
ちろ姫「うん!てち兄様、ありがとう!」
こうして、ちろ姫は複利という偉大な魔法を知り、未来の自分のために資産を育てる第一歩を踏み出したのでした。あなたのクローゼットや銀行口座にも、未来の大きなお城の土台になる「最初の雪玉」が眠っているかもしれませんよ。
今日の用語解説
- 複利とは? 元本によって生じた利息を、次の期間の元本に組み入れて計算する方法。「利息が利息を生む」仕組みで、時間が経つほど資産が雪だるま式に増えていく効果が期待できます。
- 単利とは? 最初の元本に対してのみ、利息が計算される方法。利息が元本に組み入れられないため、資産の増え方は複利に比べて緩やかです。
- 72の法則とは? 「72 ÷ 金利(%) ≒ お金が2倍になる年数」という計算式。例えば金利が3%なら、72÷3=24で、約24年で資産が2倍になるとざっくり知ることができます。
- インフレ(インフレーション)とは? モノの値段が上がり、お金の価値が下がること。去年100円で買えたリンゴが、今年は110円出さないと買えなくなるような状態です。銀行に預けているだけだと、お金の額面は減らなくても、買えるモノの量が減ってしまう(価値が目減りする)可能性があります。
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