ポストNVIDIAはどこ?AIブームの次にくる半導体、3つの注目テーマを解説

ポストNVIDIAはどこ?AIブームの次にくる半導体、3つの注目テーマを解説

ここは宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星「ふわふわ星」。 この星のプリンセス、ちろ姫は今日も元気いっぱいです。

ちろ姫「てちお兄様〜! あたち、すごい言葉を覚えたの! きっと新しいおやつの名前よ!」

玉座で書類…ではなく、ニンジンをかじっていたふわふわ星の王、てち王はやれやれといった顔で妹に視線を向けます。

てち王「ほう、ちろよ。申してみよ。どうせまた『超絶デリシャス干し草』のような名前であろう?」

ちろ姫「ちがうもん! えっとね…『えぬ・びでぃあ』!」

ぴょん、と得意げに跳ねるちろ姫。てち王はかじりかけのニンジンを置き、ふむ、と深く頷きました。

てち王「NVIDIA、か…。おやつではないが、今、星々の経済を動かす、とてつもなく重要な『魔法の石』を作る者たちの名じゃ。ちろよ、よい機会じゃ。お主も次期王女。通貨がニンジンであるこの星の未来のためにも、知っておかねばならんことがある」

ちろ姫「魔法の石? ニンジンよりおいしいの?」

てち王「…まったくお主は。まあ聞け。今日は朕が、その『NVIDIA』と、その次にくる宝の石の見つけ方を、特別に教えてやろう」


なぜ「NVIDIA」だけじゃダメなの?

こうして、てち王によるちろ姫への特別講義が始まりました。

てち王「よいか、ちろよ。まず『NVIDIA』というのは、今、宇宙で一番人気の『すごいAIニンジン』を育てられる、ほぼ唯一の農家のようなものじゃ」

ちろ姫「すごいAIニンジン! 食べたらあたちも賢くなれる!?」

てち王「まあ、そうじゃな。AIという、機械を賢くする仕組みを動かすには、そこの『魔法の石(半導体)』が必須なのじゃ。そして今、その石をNVIDIAが独り占めしておる。だから、その農家(NVIDIA)の価値はうなぎのぼり…いや、うさぎのぼりじゃな」

ちろ姫「じゃあ、みんなその農家さんのニンジンだけ食べてれば、ずーっと幸せなの!」

てち王「甘いな、ちろ姫。一つの農家に頼り切るのは、王国の運営として失格じゃ。もし、その農家が病気になったらどうする? ニンジンが不作になったら、星中の賢い機械は止まってしまう。それに、もっと美味しくて栄養のある『すごいリンゴ』を作る農家が現れたら、皆そちらに行ってしまうやもしれん」

ちろ姫「そっか…ニンジンがなくなったら、あたち、悲しい…」

てち王「うむ。だからこそ、朕のような賢い王は、次なる『すごい農家』を探したり、あるいは農家以外で儲けている者たちに目を光らせるのじゃ。これが『ポストNVIDIAを探せ』ということの本質じゃ」

ポストNVIDIA候補①:すごいニンジンを育てる「道具」を作る者たち

てち王「そもそも、すごいニンジンは、そこらへんの土では育たん。特別な栄養を持つ『魔法の土(素材)』や、畑を耕すための『超絶すごいクワ(製造装置)』が必要なのじゃ」

ちろ姫「クワ! あたちが穴掘りするやつ!」

てち王「そうじゃ。NVIDIAはあくまで『ニンジン栽培マニュアル(設計図)』を書くプロ。実際に畑を耕し、種を植えるのは別の者たちじゃ。そして、その『すごいクワ』や『魔法の土』を作ることにかけては、日の昇る星…地球の『日本』という国の者たちが、昔から得意としておる」

ちろ姫「へぇー! ニンジン農家さんだけじゃなくて、クワを作る人たちも儲かっているのね!」

てち王「その通り。農家が儲かれば、道具も売れる。たとえ次の人気作物がリンゴに変わっても、『すごいクワ』はリンゴ畑でも使えるやもしれん。これが、半導体そのものではなく、半導体製造装置素材メーカーに注目する理由じゃ」

ポストNVIDIA候補②:ニンジンの味を100倍にする「超高速な干し草」

てち王「ちろよ、お主はニンジンを食べる時、干し草も一緒に食べるであろう?」

ちろ姫「もちろん! ニンジンと干し草のハーモニーが最高なの!」

てち王「うむ。どれだけ『すごいAIニンジン』があっても、その栄養(データ)を瞬時に口まで運ぶ『超高速な干し草(次世代メモリ)』がなければ、本来の味は出せないのじゃ」

ちろ姫「ただの干し草じゃないの?」

てち王「違う。その名をHBM(広帯域幅メモリ)という。AIニンジン専用に開発された、超特別な干し草じゃ。この干し草をどれだけ上手にニンジンの隣に置けるかで、賢くなるスピードが全く違う。この分野では、お隣の星『韓国』の者たちが、激しい競争を繰り広げておる」

ポストNVIDIA候補③:AIとは違うお仕事をする「省エネの光る石」

てち王「さて、ちろよ。世の中、AIニンジンのことばかりではない。我らが乗るふわふわカー(電気自動車)を動かしたり、宮殿の明かりを少ないニンジンパワーで灯したりするのにも、別の『魔法の石』が使われておる」

ちろ姫「AIじゃない石もあるんだ!」

てち王「そうじゃ。それをパワー半導体という。いわば『省エネの光る石』じゃな。星全体のエネルギーを効率よく使うために、今後ますます必要とされる。AIニンジンが頭脳なら、こちらは星の血液をサラサラにする心臓のようなもの。全く別の分野で、これから大きく成長する可能性を秘めておるのじゃ」

【まとめ】 ちろ姫、投資の極意を学ぶ

ちろ姫「てちお兄様、すごーい! 『えぬびでぃあ』っていうニンジン農家さん以外にも、クワを作る人、特別な干し草を作る人、省エネの石を作る人がいるんだね! ふわふわ星の経済って奥が深い!」

てち王「うむ、ようやく理解したか。投資とは、一番人気のニンジンに飛びつくだけではない。その周りで誰が支えているのか、次にどんな作物が流行りそうか、畑全体を冷静に見渡すことが肝心なのじゃ」

ちろ姫「でも、あたち、どのクワや干し草を選べばいいか、まだ難しい…」

その言葉を待っていたかのように、てち王はニヤリと笑いました。

てち王「ふっふっふ。そんなお主のような初心者のために、最高の仕組みがある。色々な会社の『すごいクワ』や『魔法の土』や『特別な干し草』を、専門家がいい感じに袋詰めにしてくれた『お楽しみ畑セット』…これこそがETF(上場投資信託)じゃ。まずはそこから始めてみるのも、賢い王女への第一歩じゃぞ」

ちろ姫「お楽しみセット! それならあたちにもできそう!」

こうして、ちろ姫はまた一つ、賢いプリンセスへの階段を上ったのでした。あなたも、話題の銘柄だけでなく、その周りで輝く「次の主役」を探す旅に出てみてはいかがでしょうか?


【用語解説】

  • 半導体: 電気を通す「導体」と通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質。電気の流れを制御することで、計算や記憶といった役割を担い、スマホやPC、自動車などあらゆる電子機器の頭脳として使われています。
  • NVIDIA(エヌビディア): 米国の半導体メーカー。特にAIの学習・処理に不可欠な「GPU」という半導体に圧倒的な強みを持ち、近年の生成AIブームを牽引しています。
  • 半導体製造装置・素材メーカー: 半導体チップを作るために必要な機械や、原材料(シリコンウェハー、化学薬品など)を開発・製造する企業のこと。日本の信越化学工業や東京エレクトロンなどが世界的に高いシェアを誇ります。
  • HBM(High Bandwidth Memory): 広帯域幅メモリ。高性能なGPUのすぐ近くに配置され、大量のデータを高速に処理するために使われる特殊なメモリです。
  • パワー半導体: 電力の制御や変換を行う半導体。AIに使われる半導体が「頭脳」なら、こちらは電力の供給を管理する「心臓」や「筋肉」の役割を担い、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー設備に不可欠です。
  • ETF(上場投資信託): Exchange Traded Fundの略。特定の株価指数(例:日経平均株価)や、特定のテーマ(例:半導体関連企業)などに連動するように運用される投資信託の一種で、証券取引所に上場しているため株式のように手軽に売買できます。