【投資初心者さんへ】貯金と投資のバランス、どう決める?やさしい資産形成入門

ここは宇宙のどこかにある、何もかもが“ふわふわ”な惑星、『ふわふわ星』。 この星では、ニンジンが通貨として使われています。人々はニンジンを育て、収穫し、それをパンやふわふわのベッドと交換して暮らしていました。
そんなふわふわ星のお城での、ある日の午後のお話です。
事件は食料庫で起きている!
ちろ姫: 「ん〜!おいしいでちゅ〜!シャクシャク…もぐもぐ…」
元気いっぱいのプリンセス、ちろ姫は、お城の巨大な食料庫でご満悦。目の前には、積み上げられたたくさんのニンジン。これは、ふわふわ星の王が、万が一のためにと大切に蓄えてきたニンジンです。
ちろ姫: 「もう一本…あ、こっちの葉っぱもおいしそうでちゅ!」
その時、食料庫に威厳のある足音が近づいてきました。ふわふわ星の王、てち王です。
てち王: 「ちろ姫よ、そんなところで何を…。…ん?おおおお!?朕のニンジンがあああ!」
てち王の目線の先には、あれほど山のようにあったニンジンの山が、見るも無残な小さな丘になっているではありませんか。右手だけが白い、食いしん坊のプリンセスのお口の周りには、オレンジ色の見事な食べかすがついていました。
てち王: 「姫…まさか、これを全部…?」
ちろ姫: 「あたち、お腹すいちゃって。でも大丈夫!まだこんなに残ってるでちゅよ?」
ちろ姫は悪びれる様子もなく、残った小さなニンジンの丘をぽんぽんと叩きます。てち王は、そのあまりの無邪気さに、怒る気力も失せてしまいました。
てち王: 「姫よ…これはただのおやつではないのじゃ。朕の大切な『貯金』ならぬ『貯ニンジン』なのじゃぞ。しかし…これを機に、姫に大切なお金の勉強を教える良い機会やもしれぬな」
てち王は、歳の離れた妹を立派な王女に育てるべく、優しく語りかけ始めました。
ニンジンは、置いておくと腐る…かも?
てち王: 「姫よ、よくお聞きなさい。そのニンジン、今はとっても甘くて美味しいじゃろう。しかし、ただ食料庫に置いておくだけだと、どうなると思うかの?」
ちろ姫: 「うーん…いつか、しわしわになっちゃうでちゅか?」
てち王: 「うむ。それもそうじゃな。実は、ニンジンの価値も『しわしわ』になってしまうことがあるのじゃ」
ちろ姫: 「えー!ニンジンがしわしわに?いやでちゅ!」
ちろ姫は、大好きなニンジンがしわしわになるのを想像して、ぴょんぴょんと飛び跳ねて嫌がります。
てち王: 「これを難しい言葉で『インフレ』と言うのじゃ。例えば昔はニンジン1本でリンゴが1個買えたのに、今ではニンジン2本出さないと買えなくなってしまう。これは、リンゴの価値が上がった、とも言えるし、ニンジンの価値が下がった、とも言えるのじゃ」
ちろ姫: 「インフレ…?あたちのニンジンの価値が減っちゃうってことでちゅか?」
てち王: 「その通りじゃ。だから、ただニンジンを貯めておくだけでなく、賢く『守り』、そして『増やす』ことを考えねばならぬ」
てち王は、ちろ姫に2つのカゴを見せました。一つは頑丈で鍵のかかった『守りのカゴ』、もう一つは、小さなニンジンがすくすく育つ不思議な畑が入った『攻めのカゴ』です。
てち王: 「まず大切なのは『守りのカゴ』じゃ。ここには、いつでも使えるニンジンを準備しておく。姫が急にお腹を空かせたり、お城の屋根が壊れても、すぐに直せるだけのニンジンじゃな。これを『生活防衛資金』と呼ぶ。いざという時のための、安心の貯ニンジンじゃ」
ちろ姫: 「安心のニンジン!それなら、あたちが食べても大丈夫でちゅね!」
てち王: 「(まだ食べる気か…)まあ、そういうことじゃな。そして、その安心のニンジンが十分に貯まったら、次はこの『攻めのカゴ』、すなわち『投資』を考えるのじゃ」
ちろ姫: 「とーし?」
てち王: 「うむ。『投資』とは、ニンジンに働いてもらって、仲間を増やしてきてもらうことじゃ。例えば、ニンジンの種を畑に植えれば、たくさんのニンジンが実るじゃろう?それと同じことじゃ」
ちろ姫、攻めのプリンセスになる?
ちろ姫: 「ニンジンが仲間を連れてくる!すっごいでちゅ!あたち、全部のニンジンを畑に植えるでちゅ!」
元気いっぱいのちろ姫は、すぐにでも攻めのカゴに全てのニンジンを移そうとします。てち王は、やれやれという表情で優しくその手を止めました。
てち王: 「こらこら、落ち着きなさい、姫。それはあまりに危険じゃ。畑は天候によって、豊作の年もあれば、凶作の年もある。全てのニンジンを畑に植えて、もし全部枯れてしまったら…姫は干し草だけで冬を越すことになるのじゃぞ」
ちろ姫: 「ひ、干し草だけは…いやでちゅ…」
てち王: 「じゃろう?だから、自分に合ったバランスが大切なのじゃ。朕のように、どっしり構えてお城を守りたい者は『守りのカゴ』を多めに。姫のように、まだ若くて元気いっぱいな者は、少しだけ『攻めのカゴ』の割合を多くしても良いかもしれぬな。これを『リスク許容度』と言う。どれくらいなら、ハラハラしても大丈夫か、ということじゃ」
ちろ姫は少し考えて、自分の右手を見つめました。
ちろ姫: 「あたちの右手は白いから、右手分だけ『攻め』にするでちゅ!」
てち王: 「ふふ、それでも良いかもしれぬな。そして、攻めるにしても、賢いやり方がある。『長期・積立・分散』という、ふわふわ星に古くから伝わる魔法の呪文じゃ」
ちろ姫: 「じゅもん!」
目をキラキラさせるちろ姫に、てち王は満足そうに頷きます。
てち王: 「『長期』は、すぐに結果を求めず、長い目で畑が育つのを待つこと。『積立』は、一度に全部植えるのではなく、毎月少しずつコツコツ種を植え続けること。『分散』は、一つの畑だけでなく、ニンジン畑、リンゴ畑、干し草畑、と色々な場所に分けて植えることじゃ。そうすれば、どれか一つの畑がダメになっても、他の畑が助けてくれる」
ちろ姫: 「なるほどー!あたちの好きなものを、ちょっとずつ、色々な場所で育てるってことでちゅね!」
てち王: 「その通りじゃ!さすがは朕の妹。理解が早いのう。ちなみに、ふわふわ星には『新NISA』という特別な畑があってな、そこは収穫したニンジンに国が『税金』をかけてこない、とてもお得な畑なのじゃ」
ちろ姫: 「ぜいきん?取られない?じゃあ、その畑がいいでちゅ!」
てち王: 「うむ。初心者はまずそこから考えると良いじゃろうな」
二人で見つける、心地よいバランス
すっかりニンジンの増やし方に興味を持ったちろ姫。さっきまでおやつのことしか頭になかったプリンセスは、今や立派な王女の顔つきです。
ちろ姫: 「てち王兄様、あたち、もっとニンジンのこと、勉強するでちゅ!お城のみんながお腹いっぱいニンジンを食べられるように!」
てち王: 「うむ、その意気じゃ。焦ることはない。姫のペースで、少しずつ学んでいけば良い。まずは、この空っぽになった食料庫に、二人で『守りのニンジン』を貯めるところからじゃな」
てち王は、ちろ姫の頭を優しく撫でました。フワフワの毛並みが、とても気持ちよさそうです。
ちろ姫: 「はいでちゅ!」
元気よくお返事したちろ姫のお腹が「ぐぅ〜」と鳴りました。どうやら、またお腹が空いてきたようです。てち王は優しく笑い、隠し持っていたイチゴを一つ、ちろ姫に差し出すのでした。

ふわふわ星の小さなお姫様の金融学は、まだ始まったばかり。 「貯金」と「投資」に、絶対の正解はありません。大切なのは、てち王が教えてくれたように、自分にとって心地よい「守り」と「攻め」のバランスを見つけることです。
あなたも、自分だけの大切なニンジンを守り、育てる方法を、ちろ姫と一緒に学んでみませんか?
それでは、また次のお話でお会いしましょう。
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