【初心者必見】銀行預金の金利が低いのはなぜ?理由と仕組みを専門家うさぎが解説

ここは宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星「ふわふわ星」。この星では、ニンジンが通貨として使われています。さて、今日もふわふわ城では、何やら小さなお姫様がご立腹のようです。
増えないニンジンと、ちろ姫の叫び
ちろ姫:「ぷんすか!ぷんすかぷん!てち王お兄様、これを見てほしいの!」
ぴょんぴょんと跳ねながら、ちろ姫が小さな肉球で叩きつけているのは、「ふわふわ銀行」のニンジン通帳。その剣幕に、玉座で優雅にイチゴを頬張っていたふわふわ星の王、てち王はゆっくりと顔を上げます。
てち王:「どうしたのだ、ちろ姫。そんなに耳を逆立てて。朕のティータイムが台無しであるぞ。」
ちろ姫:「だって!あたちがコツコツ貯めた100ニンジンの預金、1年経っても全然増えてない!芽すら出てないの!これじゃあ、干し草とりんごでパーティーもできない!」
てち王:「ふむ…ちろ姫よ、それは当然なのだ。そもそも、銀行というものはニンジンの貯蔵庫ではないからな。」
ちろ姫:「えぇ!?じゃあ、あたちのニンジンはどこに行っちゃったの?」
てち王:「よし、いい機会だ。将来、この星を背負って立つ王女として、なぜ銀行の『金利』が低いのか、その仕組みを教えてやろう。落ち着いて、そこに座るのだ。」
ちろ姫は少し不満そうに口を尖らせながらも、てち王の隣にちょこんと座りました。こうして、ふわふわ星のお金の学校が始まったのです。
銀行はニンジンの仲介人?
てち王:「まず、ちろ姫が預けた100ニンジン。それは銀行の金庫で眠っているわけではない。銀行はそれを、別の誰かに貸し出しているのだ。」
ちろ姫:「え!勝手に!?あたちのニンジンなのに!」
てち王:「まあ聞け。例えば、新しいニンジン畑を作りたいと思っているうさぎさんがいるとしよう。そのうさぎさんは、銀行から元手となるニンジンを借りる。そして、無事に畑ができてたくさんのニンジンが収穫できたら、借りたニンジンに少しだけお礼を上乗せして銀行に返すのだ。この「お礼」こそが、銀行が貸し出す際の利子(貸出金利)になる。」
ちろ姫:「なるほどー!それで銀行は儲けてるんだ!」
てち王:「その通りだ。そして銀行は、儲けの中から『ニンジンを預けてくれてありがとう』というお礼を、ちろ姫のような預金者に支払う。それが、我々がもらえる利子(預金金利)なのだ。」
ちろ姫:「あれ?でも、あたちのお礼、すっごく少ないよ?」
てち王:「鋭いな。銀行は、貸し出す相手から受け取る金利よりも、預金者に支払う金利を低く設定している。この金利の差を『利ザヤ』と言い、これが銀行の主な利益になる。だから、我々がもらえる金利は、もともとそんなに多くはない仕組みなのだ。」
ちろ姫:「うーん、なんかずるい気もするけど…でも、それだけが理由じゃないんでしょ?だって、昔はもっと金利が高かったって、おじい様が言ってたもん。」
てち王:「うむ。さすがは朕の妹よ。話の核心に近づいてきたな。実は、この金利の高さを実質的に決めている『親玉』がいるのだ。」
金利の親玉と、日本の長いトンネル
てち王:「ふわふわ星全体の経済をコントロールしている『ふわふわ星中央銀行』という存在を知っているか?」
ちろ姫:「なんか、お城で一番偉いフクロウさんがやってるって聞いたことある!」
てち王:「そうだ。その中央銀行が決める『政策金利』こそが、金利の親玉。これが上がれば世の中の金利は上がり、これが下がれば金利も下がる。いわば、経済の“蛇口”のようなものなのだ。」
これは、現実の世界でいう「日本銀行(日銀)」と、その金融政策にあたります。
てち王:「景気が良くて、みんながニンジンをどんどん使ってモノの値段が上がりすぎている時(好景気・インフレ)、中央銀行は蛇口を締める。つまり、政策金利を上げて、企業や個人がお金を借りにくくし、経済の過熱を冷ますのだ。」
ちろ姫:「ふむふむ。」
てち王:「逆に、景気が悪くて、誰もニンジンを使わず、モノの値段が下がり続けている時(不景気・デフレ)、中央銀行は蛇口を全開にする。政策金利を下げて、みんながお金を借りやすくし、『どうぞニンジンを使って経済を元気にしてください!』と促すのだ。」
ちろ姫:「じゃあ、今のふわふわ星(日本)は、ずっと蛇口が全開だったってこと?」
てち王:「その通り!それも、ただの全開ではない。バブルが弾けてから約30年間、長い不景気のトンネルをさまよっていた。だから、蛇口を無理やりこじ開けるような『ゼロ金利政策』や、ついには『お金を借りてくれたら、逆にお礼を払いますよ』とまで言える『マイナス金利政策』という、歴史的に見ても異常なほどの低金利状態を続けてきたのだ。」
ちろ姫:「えぇーっ!マイナス!?じゃあ銀行に預けてたらニンジンが腐っちゃうの!?」
てち王:「ははは、個人の預金が直接減るわけではないから安心せよ。だが、それくらい必死に経済を温めようとしてきた証なのだ。その結果、我々がもらえる預金金利は、地面に張り付くほど低くなってしまった、というわけだ。」
てち王:「だが、ちろ姫。本当に恐ろしいのは、金利が低いことだけではないぞ。最近、おやつの干し草やりんごが値上がりしているだろう?あれが『インフレ』だ。銀行に預けているニンジンの本数は変わらなくても、そのニンジンで買えるモノの量が減っていく。つまり、何もしなければ、君のニンジンの価値は実質的に目減りしていることになるのだ。」
ちろ姫の顔から、さっきまでの笑顔がすっと消えました。
王女の決意と、未来への一歩

ちろ姫:「そっか…銀行に預けて安心してるだけじゃ、いつの間にかあたちのニンジンは、カスカスの美味しくないニンジンになっちゃうんだ…。」
しゅん、と耳が垂れるちろ姫の頭を、てち王は優しく撫でました。
てち王:「その通りだ、ちろ姫。よく気づいたな。だからこそ、これからの時代は、自分の大切なニンジンを自分で守り、育てていく知識が必要不可欠なのだ。」
その言葉に、ちろ姫の瞳が再びキラリと輝きました。垂れていた耳が、ぴょこんと力強く立ち上がります。
ちろ姫:「わかった!あたち、決めた!ただ預けるだけじゃなくて、ニンジンを畑に植えて自分で増やす!りんごの木も育てる!そのために、もっと経済のこと、お金のことを勉強する!」
てち王:「うむ、それでこそ朕の妹、ふわふわ星のプリンセスだ。」
ちろ姫のこの小さな決意は、ふわふわ星の未来だけでなく、今この記事を読んでいるあなたの未来にも、きっと繋がっているはずです。 銀行預金が安心安全な場所であることは間違いありません。しかし、それだけではインフレの波に飲まれてしまうかもしれない。
さあ、あなたもまずは経済ニュースに関心を持つことから始めてみませんか?そして次の一歩として、眠っているお金に働いてもらう「資産運用」という選択肢を、真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
【今日の用語解説】
- 金利(きんり) お金のレンタル料のこと。お金を借りた側が、貸してくれたお礼として支払う。私たちが銀行から受け取る「預金金利」と、銀行が企業などへ貸し出す際に受け取る「貸出金利」がある。
- 利ザヤ(りざや) 銀行の主な利益源。「貸出金利」と「預金金利」の差額のこと。
- 日本銀行(にほんぎんこう) 日本の中央銀行。「銀行のなかの銀行」とも呼ばれ、日本の金融政策を決定する司令塔。物価の安定と金融システムの安定を目的としている。
- 政策金利(せいさくきんり) 日本銀行が決定する、金利の基準となるもの。景気の状況に合わせて上げ下げされ、世の中の様々な金利に影響を与える。
- インフレ / デフレ インフレ(インフレーション)は、モノやサービスの値段が全体的に上がり続け、お金の価値が下がること。 デフレ(デフレーション)は、その逆で、モノやサービスの値段が下がり続け、お金の価値が上がること。
-
前の記事
【新NISA】ポートフォリオの見直しはいつ?5年後に差がつく年代別の最適解を解説 2025.10.13
-
次の記事
【初心者向け解説】保険と投資の違いとは? 2025.10.13