【うさぎでも分かる】新興国投資の始め方!初心者向けにメリット・リスクを解説
- 2025.10.14
- うさぎで学ぶシリーズ 時事・トレンド
- ETF (上場投資信託), 投資信託, 投資初心者, 株式投資, 資産運用

ここは、宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星「ふわふわ星」。この星の通貨は、もちろんニンジンです。 宮殿のふかふかな玉座で、白と茶色の毛並みが美しい「てち王」が、おやつのイチゴを嗜んでいると、そこへ一人のプリンセスが猛スピードで駆け込んできました。
生まれたばかりで元気いっぱい、将来の王女「ちろ姫」です。その茶色い体のうち、右手だけが自慢の白。今日も何かを発見したようです。
飽きちゃった!新しいおやつが食べたい!
ちろ姫: 「てち兄様〜!大変、大変!あたち、もういつものおやつに飽きちゃった!」
てち王: 「(やれやれ、またか…)ちろ姫よ、落ち着かぬか。王女たるもの、ぴょんぴょん跳ね回るでない。で、いつもの干し草とりんごがどうしたというのじゃ」
ちろ姫: 「だって、毎日同じ味なんだもん!もっとこう…刺激的で、誰も食べたことがないような、すっごく美味しいおやつが食べたいの!ふわふわ星のどこかにあるはずよ!」
てち王: 「ふむ…飽くなき探究心は良いことじゃ。だがな、ちろ姫。既に開拓された畑のりんごを探しても、味は知れたもの。それならば、まだ誰も目をつけておらぬが、これから極上のりんごが採れるようになるであろう『新しい畑』を探してみるのはどうじゃ?」
ちろ姫: 「あたらしい…はたけ?」
てち王: 「うむ。それは、地球という惑星で言うところの…『新興国』のようなものじゃな」
しんこーこく?新しいニンジンの一種?

ちろ姫: 「しんこーこく?なにそれ?新しい種類の人参?すっごく甘いの?」
てち王: 「(はぁ…)相変わらず食い意地だけは一人前じゃな。新興国とは、国のことじゃ。今はまだ発展の途中じゃが、我々うさぎの如き驚異的な繁殖力…いや、経済成長力で、これからどんどん豊かになる可能性を秘めた国々のことじゃ」
ちろ姫: 「うさぎみたいな国!?」
てち王: 「その通り。例えば、子供のうさぎ、つまり若者がたくさんいる国を想像してみよ。彼らがいずれ大人になれば、たくさんの働き手が生まれる。巣穴を掘る者、ニンジンを育てる者、外敵を見張る者…。国全体が活気に満ち溢れるじゃろう。これを地球では『人口ボーナス期』と呼び、国が大きく成長する絶好の機会なのじゃ」
ちろ姫: 「へぇー!うさぎがいっぱいだと、国も元気になるのね!あたちも兄弟いっぱい欲しい!」
てち王: 「朕の話を聞いておるか…。かつて、地球では『BRICS(ブリックス)』と呼ばれる国々が注目された。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ。まるで、それぞれ得意な穴掘りの流派が違う、猛者のうさぎ達のようじゃな」
ちろ姫: 「必殺技とか持ってるの?『ブラジリアン・巣穴キック』とか!」
てち王: 「…まあ、そのような勢いがあったということじゃ。そして今、特に注目されておるのがインドやベトナムといった国々じゃな」
ちろ姫: 「いんど?べとなむ?」
てち王: 「うむ。インドは、若いうさぎ…いや、若者の数が圧倒的に多く、これからどんどん消費が増えると言われておる。それに、IT(情報技術)という難しい計算が得意なうさぎが山ほどおる。一方、ベトナムは非常に勤勉なうさぎが多く、世界中の製品を作る『世界の工場』としての役割が期待されておるのじゃ。まさに、これからたくさんのニンジンやりんごが実る可能性を秘めた、有望な畑と言えよう」
全部のニンジンを賭けるわ!…って、あれ?
ちろ姫: 「わかったわ!てち兄様!その『いんど』っていう畑に、あたちのおやつのニンジンをぜーんぶ投資する!そうすれば、将来りんごが100個になって返ってくるのね!あたち、天才!」
ぴょんぴょん跳ねながら、貯金箱ならぬ貯金穴からニンジンをかき出そうとするちろ姫。てち王は、その長い耳を呆れ気味に揺らしました。
てち王: 「待て、ちろ姫!その落ち着きのなさと決断の速さは、時に美徳でもあるが…今はただの無謀じゃ。新しい畑には、魅力的な果実だけでなく、思わぬ罠や意地悪なモグラも潜んでおるものぞ」
ちろ姫: 「もぐら!?」
てち王: 「うむ。確かに、新興国への投資は、うまくいけば我々のニンジンが10倍、100倍になる可能性、いわゆる『ハイリターン』を秘めておる。ふわふわ星一番のニンジン長者になるのも夢ではない。じゃが、その分、大きな『リスク』も伴うのじゃ」
ちろ姫: 「りすく…?」
てち王: 「例えば、『カントリーリスク』じゃ。その畑のボスうさぎが、ある日突然『明日からこの畑の通貨はニンジンではなく、ドングリとする!』などと、無茶なルール変更をするやもしれん。あるいは、隣の縄張りのボスうさぎと大喧嘩を始めて、畑が荒らされてしまうかもしれん。国の政治や経済が不安定だと、我々のニンジンはあっという間に価値を失うのじゃ」
ちろ姫: 「ひぇぇ…勝手なボスうさぎは嫌い…」
てち王: 「次に、『為替(かわせ)リスク』。我々のニンジン通貨を、その国の通貨、例えば『インドルピー』とやらに交換してから投資する必要がある。じゃが、その交換レートが、驚いたうさぎのように日々ぴょんぴょん跳ね回る。今日1ニンジンで10ルピーに交換できても、明日には5ルピーにしかならんかもしれん。せっかく畑でりんごが沢山実っても、ニンジンに交換し直したら、元の数より減っておった…などという悲劇も起こりうるのじゃ」
ちろ姫: 「ニンジンが減るのは絶対にいや!」
てち王: 「そして、『流動性(りゅうどうせい)リスク』というのもある。『この畑のりんごを買いたい!』と思っても誰も売ってくれなんだり、逆に『もうこのりんごは売りたい!』と思っても、誰も見向きもせず買ってくれなんだりする状況じゃ。まるで、誰にも相手にされぬ寂しい巣穴のようじゃな。売りたい時に売れねば、価値がないのと同じことじゃ」
すっかり青ざめて、自慢の白い右手をぶるぶると震わせるちろ姫。てち王は、そんな妹の頭を優しく撫でました。
賢い畑の見つけ方
ちろ姫: 「うぅ…なんだか怖くなってきた…。でも、でもでも、やっぱり珍しくて美味しいりんごは食べたいよう…」
てち王: 「うむ、その気持ちは分かる。だからこそ、賢い種のまき方を学ぶ必要があるのじゃ。何も、自分のニンジンを全て一つの畑に突っ込む必要はない」
ちろ姫: 「どういうこと?」
てち王: 「心配性なそなたのような者のために、便利な仕組みがある。それが『投資信託』や『ETF(上場投資信託)』じゃ。これは、色々な新興国の、たくさんの畑に、少しずつ種をまいてくれる、いわば『農業代行サービス』のようなものじゃな」
ちろ姫: 「ぜんぶやってくれるの!?」
てち王: 「そうじゃ。例えば『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』といった商品が有名じゃが、これを1ニンジン分買うだけで、インドやベトナム、ブラジルなど、様々な国の有望な企業(畑)のオーナーに少しずつなれる。これなら、一つの畑がモグラに荒らされても、他の畑の豊作でカバーできるじゃろう?これを『分散投資』と言う。うさぎが巣穴を複数持つのと同じ理屈じゃ」
ちろ姫: 「なるほど!ひとつの巣穴がバレても、他があるから安心なのね!」
てち王: 「そういうことじゃ。さらに上級者向けには、特定の畑の、特定のりんごの木、つまり『個別株』に惚れ込んで、直接その木のオーナーになる方法もある。じゃが、これはその木の健康状態や、土壌の質、天候まで自分で調べねばならんから、相当な目利きが必要じゃ。地球の米国市場で、新興国の株を買える『ADR(米国預託証券)』という仕組みもあるが、これもまた別の機会に話そう」
ちろ姫: 「うーん…あたちはまだ子供だから、色々な畑に種をまいてくれる『とうししんたく』がいい!でも、いきなり全部は怖いから、おやつのニンジンのうち、ほんの少しだけにする!残りは今まで通り、干し草とりんごを食べるわ!」
その言葉に、てち王は満足そうに目を細めました。
てち王: 「うむ、それが賢明な判断というものじゃ。投資で最も大事なのは、自分がどれだけのリスクなら、夜に安心して眠れるか、その『リスク許容度』を考えること。将来、立派な王女になれそうじゃな。よし、褒美に朕のイチゴを一つやろう」
ちろ姫: 「わーい!いちご!てち兄様だいすき!」
イチゴを貰ったちろ姫は、ぴょんぴょんと宮殿中を跳ね回り、てち王はそんな妹の姿を微笑ましく見つめるのでした。
用語解説
こうして、ちろ姫は新しいおやつの可能性と、投資の奥深さを学んだのでした。 さて、今回の物語に出てきた少し難しい言葉を、簡単におさらいしましょう。
- 新興国 (Emerging Markets): 経済が急速に成長している、発展途上の国々のこと。高いリターンが期待できる一方、様々なリスクも抱えています。
- BRICS: 2000年代に注目された新興国の代表格である、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の頭文字を繋げた言葉です。
- 人口ボーナス: 社会全体の労働者世代(生産年齢人口)の割合が高く、子供や高齢者の割合が低い状態のこと。これにより、社会保障の負担が軽くなり、経済成長が促進されやすい期間を指します。
- カントリーリスク: 投資先の国の政治情勢や経済状況の変化、法規制の変更などによって、投資した資産の価値が変動する可能性(リスク)のことです。
- 為替リスク: 日本円と外国の通貨を交換する際のレート(為替レート)が変動することにより、外貨建ての資産価値が変わってしまう可能性(リスク)のことです。円安になれば利益、円高になれば損失が出ます。
- 投資信託 / ETF (上場投資信託): 投資家から集めた資金を、運用の専門家が株式や債券など様々な資産に分散して投資・運用してくれる金融商品。特にETFは証券取引所に上場しており、株式のようにリアルタイムで売買できます。
- ADR (米国預託証券 / American Depositary Receipt): 米国以外の国で設立された企業が、米国市場で自社の株式を流通させるために発行する証券のこと。これを利用することで、米国の投資家は自国の市場で外国の株を売買できます。
未来のニンジン畑、皆さんも探してみてはいかがでしょうか?ただし、くれぐれもご自身のニンジン(資産)とよく相談しながら、慎重に一歩を踏み出してみてくださいね。
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