【投資初心者向け】うさぎの王様と学ぶ積立投資!新NISAで始める社会人の資産形成術を物語で解説

宇宙のどこかにある、何もかもが“ふわふわ”な惑星、その名も「ふわふわ星」。この星では、立派なニンジンが通貨として流通しています。今日の主役は、この星のプリンセス「ちろ姫」。おやつの干し草をもしゃもしゃしながら、何やら考え込んでいるようです。
あれ?おやつの干し草、なんだか小さくない?
ちろ姫「もぐもぐ…んー。最近、なんだか同じ1ニンジンで買える干し草の量が減った気がするんだよね…。気のせいかなぁ?あたち、このまま毎日おやつを食べて、ぴょんぴょん遊んでいるだけで、将来立派な王女様になれるのかなぁ…」
ふわふわの玉座から、その様子をじっと見ていた人物がいました。ちろ姫の兄であり、この星の偉大なる王、「てち王」です。
てち王「ほう、ちろ姫。ようやく気付いたか。良いところに目をつけたな。それは気のせいではないぞ」
ちろ姫「わっ!てち兄様!いつからそこにいたの?びっくりしてニンジン落としちゃったじゃん!」
てち王「朕はいつでも、どこにでもおる。それよりもちろ姫、お前が感じた『干し草が減った』という感覚、それはな、世の中の『インフレ』というもののせいじゃ」
ちろ姫「いんふれ…?なあに、それ?新しいおやつの名前?」
てち王「違うぞ、この食いしん坊。インフレとは、モノの価値が上がり、お前の持っているニンジン(お金)の価値が実質的に下がってしまうことだ。例えば、去年は1ニンジンで干し草が10本買えたのに、今年は8本しか買えなくなった。これがインフレじゃ。お前がコツコツ貯めてきた大事なニンジンも、ただ巣穴に貯蔵しているだけでは、どんどん買えるものが少なくなっていくということだ」
ちろ姫「ええーっ!そんなの嫌だ!あたちが一生懸命我慢したおやつのニンジンが!?」
てち王「うむ。だからこそ、王族たるもの、自分の資産は自分で守り、そして『育てる』必要があるのだ。ただ持っているだけでは、インフレという名の虫に食われてしまうからな。将来、立派な王女になりたいのなら、今から経済の仕組みを学び、賢くニンジンを育てていかねばならん」

新NISAという名の「魔法のニンジン畑」
ちろ姫「ニンジンを育てる…?投資ってこと?でも、あたち、難しいことは分からないよぉ。それに、一日中ぴょんぴょん跳ねてないと落ち着かないもん。じっとしてるの苦手だし…」
てち王「ふっふっふ。案ずるな。そんな落ち着きのないお前のようなうさぎ…いや、毎日忙しく働く地球の社会人にこそ、うってつけの方法がある。それが『積立投資』というやり方じゃ」
ちろ姫「つみたてとうし?」
てち王「そうだ。難しく考える必要はない。毎月、お給料という名の収穫ニンジンの中から、決まった本数を畑に植え続ける。たったそれだけだ。一度設定してしまえば、あとは自動で畑に栄養が送られるようなもの。お前のように、すぐに他のことに夢中になってしまう者でも続けられる」
ちろ姫「へぇー!それならあたちにもできそう!でも、どこに植えればいいの?」
てち王「良い質問だ。ふわふわ星にはな、国が用意してくれた特別な畑がある。その名も『新NISA』という、魔法のニンジン畑じゃ!」
てち王は、キラキラと輝く畑の絵図をちろ姫に見せました。
てち王「普通の畑でニンジンを育てて、それが大きく育って収穫(利益)すると、国に『たくさん育って良かったで賞』として税金を納める義務がある。だが、この『新NISA』という畑で育ったニンジンは、どれだけ大きくなろうと、その税金が一切かからんのだ!」
ちろ姫「ぜいきん?それって、お城の倉庫に納めるニンジンのこと?あれがなくなるの!?すごーい!じゃあ、育った分は全部あたちのものになるんだね!」
てち王「その通り!国も『みんな、自分たちの将来のために、どんどんニンジンを育てなさい』と応援してくれているわけだ。これを使わない手はない。まさに、我々国民のための制度と言えよう」
王様が授ける「ニンジンを枯らさない」3つの心得
話を聞いて、ちろ姫の目はキラキラと輝き始めました。
ちろ姫「わーい!わかった!じゃあ、あたちが持ってるニンジンを全部、あたちが大好きなリンゴの木の苗に植える!一番おいしいリンゴが育てば、ニンジンもいっぱいになるはずだもん!」
そう言って、ぴょんぴょんとリンゴ畑へ向かおうとするちろ姫の耳を、てち王が優しく掴んで引き止めました。
てち王「待て、このおてんば姫。早まるな。投資の世界はそんなに甘くはない。お前に、王家に伝わる『ニンジンを枯らさないための3つの心得』を授けよう。よく聞くのじゃぞ」
心得その壱:『気長に待つべし』(長期投資)
てち王「一度植えた苗木は、少し風が吹いたり、雨が降ったりしたからといって、すぐに引っこ抜いてはならぬ。うさぎの寿命は短いかもしれんが、資産は違う。どっしりと構え、何年も、何十年もかけて、嵐の日も晴れの日も乗り越え、やがて大樹に育つのを待つのだ。これが『長期』の心得じゃ」
心得その弐:『色々な畑に植えるべし』(分散投資)
てち王「お前が言うように、リンゴの木だけに全てのニンジンを植えたとしよう。もし、その年に限ってリンゴを食べる悪い虫が大量発生したらどうなる?お前のニンジンは全滅だ。そうならぬよう、リンゴの畑、イチゴの畑、干し草の畑…というように、色々な種類の畑に分けて植えるのだ。そうすれば、たとえリンゴがダメでも、イチゴや干し草が豊作になるかもしれん。リスクを分ける、これが『分散』の心得じゃ」
心得その参:『コツコツ続けるべし』(積立投資)
てち王「そして最後が最も重要だ。天気が良くて畑仕事が楽しい日(景気が良い時)も、雨が降って外に出たくない日(景気が悪い時)も、気にせず、毎月同じ本数のニンジンを植え続ける。実はこれ、非常に賢いやり方でな。雨の日には、弱った苗が安く売られている。つまり、同じニンジンの本数で、より多くの苗を買えることになるのだ。これを続けていくと、平均の購入単価を自然と下げることができる。この魔法のような買い方を『ドルコスト平均法』という。天気に一喜一憂せず、ただ淡々と続けること。これが『積立』の心得じゃ」
てち王は、ちろ姫の目を見て力強く言いました。
てち王「『長期・分散・積立』。この3つが、お前のような初心者でも、そして忙しい社会人でも、資産という名のニンジンを健やかに育てるための、最強の魔法となるのだ」
未来の自分のための、はじめの一歩
てち王から3つの心得を授かったちろ姫は、ぴょんぴょんと跳ねるのをやめ、真剣な眼差しで頷きました。
ちろ姫「てち兄様、ありがとう!あたち、わかった!目先のリンゴだけじゃなくて、もっと遠い未来の、大きな森を育てる気持ちでやればいいんだね。未来のふわふわ星と、未来のあたちのために、やってみる!」
てち王「うむ。その意気じゃ。何も、最初からたくさんのニンジンを植える必要はない。まずは、毎月1ニンジンの積立からでも十分だ。大切なのは、『始めること』そして『続けること』。さあ、朕と一緒に、お前の最初の畑を見に行こうか」
ちろ姫「うん!」
満足げに頷くてち王と、希望に満ちた表情で力強く歩き出すちろ姫。二匹のうさぎの小さな一歩が、ふわふわ星の未来、そしてあなたの未来を明るく照らす、大きな一歩になるのかもしれません。
まとめ&用語解説
いかがでしたか?てち王とちろ姫の会話を通して、積立投資のイメージが少しでも掴めたなら幸いです。最後に、今日の物語に出てきた重要な言葉をおさらいしておきましょう。
- インフレ(インフレーション) モノの値段が継続的に上がり、相対的にお金の価値が下がること。昔は100円で買えたジュースが、今は150円出さないと買えない、といった現象です。銀行に預けているだけでは、お金は増えないので、インフレのスピードに負けて実質的な資産は目減りしてしまいます。
- 新NISA(ニーサ) 2024年から始まった、個人投資家のための税金優遇制度です。通常、投資で得た利益(配当金、分配金、譲渡益)には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での取引で得た利益には税金がかかりません。年間で投資できる上限額が決まっており、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があります。
- 長期・分散・積立 投資における王道とされる3つの基本原則です。
- 長期: 短期間での価格の上下に一喜一憂せず、長い時間をかけて資産が成長するのを待つ考え方。
- 分散: 一つの金融商品に集中投資するのではなく、国や資産(株式、債券など)を複数に分けて投資することで、リスクを軽減させる考え方。
- 積立: 投資するタイミングを分けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになり、平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。
- ドルコスト平均法 価格が変動する金融商品を、常に一定の金額で、定期的に買い続ける手法です。価格が低い時には多く、高い時には少なく買うことになるため、結果的に平均購入単価を平準化させる効果が期待できます。感情に左右されず、機械的に投資を続けられるというメリットもあります。
-
前の記事
【うさぎでも分かる】新興国投資の始め方!初心者向けにメリット・リスクを解説 2025.10.14
-
次の記事
個別株とインデックス投資はどっちを選ぶ?【初心者向け】メリット・デメリットを徹底比較 2025.10.14