【うさぎでもわかる】投資信託とは?初心者向けに仕組み・メリットを徹底解説!

【うさぎでもわかる】投資信託とは?初心者向けに仕組み・メリットを徹底解説!

プロローグ:プリンセスの野望

宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星、その名も「ふわふわ星」。 この星の通貨は、うさぎ達の大好物、ニンジンです。

ふわふわ星のお城のバルコニーで、小さなプリンセス「ちろ姫」が、山積みにされたニンジンを前に目を輝かせていました。

ちろ姫:「うふふーん♪ あたちが毎日のおやつを我慢して貯めたニンジンがこーんなに! これだけあれば、東の森にある『伝説のキラキラりんごの木』を丸ごと買い取れるはず! そうすれば、あまーいりんご、独り占めだもんね!」

右手だけが白い、元気いっぱいのちろ姫。彼女の夢は、星で一番と噂のりんごの木を自分のものにすること。しかし、その無邪気な計画を、フワッフワな玉座から見守る影が一つ。

てち王:「待て待て、ちろ姫よ。落ち着かぬか。ぴょんぴょん跳ねると、せっかく積んだニンジンが崩れてしまうぞ」

声の主は、ちろ姫の兄であり、このふわふわ星を統べる王、「てち王」。その体は雪のように白く、専門家も舌を巻くほどの経済知識を持つ、偉大なる王様です。

ちろ姫:「お兄たま! 見て見て、すごいでしょ! これであのりんごの木を買うの!」

てち王:「うむ、感心な心がけじゃ。だがな、ちろ姫。うさぎの世界には古くからの言い伝えがある。『一番大事なニンジンは、一つの穴に隠すな』…万が一、その穴をイタチに見つかってしまったら、お前の努力は全て水の泡と化す」

ちろ姫:「えー! でも、あのりんごは世界一美味しいんだよ? それが毎日食べられるんだよ?」

てち王:「確かにあの木は素晴らしい。じゃが、もし病気になったら? 天候が悪くて、りんごが一つも実らなかったら? お前はニンジンを全て失い、りんごも食べられず、涙で枕を濡らすことになる。それは王族として、あまりにリスクの高い賭けというものじゃ」

しょんぼりするちろ姫を見て、てち王は優しく微笑みます。

てち王:「安心するがよい。夢の大きなプリンセスのために、もっと賢くて、もっと心躍る方法がある。今日は朕が、『投資信託』という名の、壮大な冒険について教えてやろう」

ちろ姫:「とーししんたく…? なあにそれ? りんごより美味しいの?」

こうして、ふわふわ星の王様による、世界一わかりやすい経済教室の幕が開けたのです。


「投資信託」は、最高の冒険ツアー!?

てち王:「ちろ姫よ。一つの木に全てのニンジンを注ぎ込むのではなく、朕が提案する『ふわふわ星・わくわく星巡りツアー』に参加してみるのはどうだ?」

ちろ姫:「ツアー? 旅行のこと? あたち、ピクニック大好き!」

てち王:「うむ、そんな感じじゃ。このツアーはな、お前が貯めたニンジンを『参加費』として支払うことで参加できる、特別な冒険パッケージなのだ」

てち王は、古びた星の地図を広げました。地図には、様々な魅力的な場所が描かれています。

てち王:「例えば、このツアーでは、星の隅々まで知り尽くしたベテランの『ツアーガイド』が、お主を色々な場所に連れて行ってくれる。見てみよ」

  • 『ぐんぐん育つニンジンの山』:ここでは新しい品種のニンジンが次々と生まれており、収穫量がものすごい勢いで増えている。冒険的だが、大きなリターンが期待できる場所じゃ。
  • 『いつでも安心・干し草の丘』:ここは流行り廃りはないが、どんな天候でも必ず安定して美味しい干し草が採れる。手堅く収穫を得たい者たちが集う場所じゃな。
  • 『キラキラ光るお宝の洞窟』:壁からは甘い蜜が染み出し、地面を掘れば硬くて美味しい『岩塩』が見つかる。ニンジンの山や干し草の丘とは、また違った価値がある場所じゃ。
  • 『海の向こうの大陸』:我らの星とは全く違う環境で育った、珍しい木の実やキノコが採れる場所もコースに含まれておるぞ。

ちろ姫:「わー! すごーい! いろんなところに行けるんだね! ニンジンだけじゃなくて、干し草もお宝も!?」

てち王:「その通り! このように、様々な魅力を持つ場所に少しずつ立ち寄ることで、一つの場所が不作だったとしても、他の場所の収穫でカバーできる。伝説のりんごの木が枯れてしまっても、このツアーに参加していれば、ニンジンの山や干し草の丘で得たお土産があるから、手ぶらで悲しむことはない。これこそが、朕が最初に言った『分散』…すなわち、『分散投資』という、王族必須の危機管理術なのじゃ」

投資信託とは、まさにこの「冒険ツアー」のようなもの。 私たちがお金(ニンジン)を出すと、運用の専門家であるファンドマネージャー(ツアーガイド)が、そのお金を使って国内外の株式(ニンジンの山)や債券(干し草の丘)、不動産(お宝の洞窟)など、様々な資産にバランス良く投資をしてくれる金融商品なのです。


ツアーのすごいところ、3つのポイント!

ちろ姫:「なるほどー! 一つのりんごの木に全部賭けるより、いろんな場所に行くツアーの方が安心ってことね! でも、それだけじゃないんでしょ、お兄たま?」

てち王:「ほう、察しが良いな。その通りじゃ。この『わくわく星巡りツアー』には、ちろ姫のような生まれたてのプリンセスにも優しい、3つの素晴らしい点があるのだ」

ポイント1:凄腕ガイドに「おまかせ」でOK!

てち王:「まず第一に、『どの山が今一番育ち盛りか』『どの丘が安全か』といった難しい判断は、全てベテランのツアーガイドにおまかせできることじゃ。我らは毎日地図を睨んで悩む必要はない。安心して日向ぼっこをしたり、おやつを食べたりしていればよいのだ」

ちろ姫:「え、本当!? あたち、難しいこと考えるの苦手だもん! ぴょんぴょん跳ねてる間に、ガイドさんが頑張ってくれるのね!」

投資信託の最大の魅力の一つが、これです。個人で「どの会社の株が伸びるか」「どの国の債券が安全か」を判断するのは至難の業。その複雑で専門的な判断と運用を、金融のプロであるファンドマネージャーに一任できるのです。

ポイント2:少ないニンジンでも壮大な冒険へ!

てち王:「第二に、このツアーは、朕やちろ姫だけでなく、星中のうさぎ達が少しずつニンジンを出し合って催行される。だから、少ない参加費でも、普通なら王族しか行けないような、壮大な冒負に参加できるのじゃ。それこそ、ニンジン1本からでも参加できるツアーもあるぞ」

ちろ姫:「ニンジン1本で!? それなら、あしたが食べる分のおやつを1回我慢すれば参加できるじゃない!」

これも投資信託の大きなメリット。通常、たくさんの企業の株を買って分散投資をしようとすると、莫大な資金が必要になります。しかし、投資信託は多くの投資家からお金を集めて大きな資金として運用するため、一人ひとりは月々1,000円や、中には100円といった少額からでも始めることができるのです。

ポイント3:いつでも仲間に入れるし、いつでもやめられる!

てち王:「第三に、このツアーは『参加したい!』と思ったらいつでも仲間に入れるし、『もう満足じゃ』と思ったら、いつでもツアーを抜けて、成果をニンジンに換えて持ち帰ることができる。柔軟性が高いのも魅力じゃな」

ちろ姫:「へぇー! じゃあ、とりあえず参加してみて、気に入らなかったらやめてもいいんだ!」

投資信託は、証券会社などを通じて、原則としていつでも購入・売却(換金)が可能です。この手軽さも、多くの人に選ばれている理由です。

※一部、特定の期間しか売買できないものを除く。


冒険の心得!ツアーに参加する前の注意点

ちろ姫:「わかった! 投資信託って、いいことずくめなのね! あたち、もう決めた! ニンジン全部で、一番キラキラしてるお宝の洞窟にたくさん行くツアーに参加する!」

興奮して飛び跳ねるちろ姫を、てち王は優しく、しかし真剣な眼差しで制します。

てち王:「こら、ちろ姫。話は最後まで聞くものじゃ。冒険には、光だけでなく影もある。心躍る話の裏には、必ず覚えておかねばならぬ『心得』があるのだ。これを忘れると、立派な王女にはなれんぞ」

ちろ姫:「うぅ…心得…?」

心得その1:冒険に「絶対安全」はない

てち王:「よいか、ちろ姫。冒険には危険がつきものじゃ。どんなに優秀なガイドがいても、突然、星全体を覆うような大嵐が来て、どの山でも丘でも全く収穫がなくなってしまうこともある。そうなると、支払った参加費(預けたニンジン)よりも、持ち帰るお土産(受け取るお金)が少なくなってしまう可能性もある。これを**『元本割れ』**という。銀行の預金とは違い、お主のニンジンが保証されているわけではないのだ」

これは投資の基本中の基本です。投資信託は預金と異なり、投資したお金(元本)が保証されていません。市場の状況によっては、購入した時よりも価値が下がり、損をしてしまうリスクがあります。

心得その2:ガイドさんへのお礼を忘れずに

てち王:「そして、我らを安全で豊かな冒険に導いてくれる優秀なガイドには、敬意を払わねばならん。ツアーに参加している間は、彼らに『ツアーガイド料』を支払い続ける必要がある。これを『信託報酬』という。大した額ではないように見えても、長く参加すればするほど、支払うニンジンの本数も増えていくことを忘れるな」

投資信託を保有している間、運用管理のプロに支払う手数料が「信託報酬」です。これは投資信託の純資産総額に対して年率◯%という形で、保有している限り毎日かかり続けます。たとえ利益が出ていなくても支払う必要がある、重要なコストです。

心得その3:「どのツアーに参加するか」は、自分で決める

てち王:「最後に、これが最も重要かもしれん。ツアーには、本当にたくさんの種類がある。『ニンジンの山登り特化ツアー』もあれば、『のんびり干し草の丘めぐりツアー』、はたまた『世界中の珍しい果実を探す大冒険ツアー』まで、様々じゃ。どのツアーが自分の目的に合っているのか。それを決めるのは、他の誰でもない、お主自身なのだ。そのためには、ツアーの『案内書(目論見書)』をしっかりと読み解く必要がある」

ちろ姫:「もくろみしょ…? 漢字、まだ読めない…」

てち王:「ふふ、心配せずともよい。そのために朕がおるのだからな」

投資信託は、現在6,000本以上あると言われています。それぞれに投資対象、リスクの大きさ、手数料などが異なります。自分がどんな目的で(老後の資金、教育資金など)、どれくらいのリスクなら受け入れられるのかを考え、自分に合った一本を選ぶことが何よりも大切なのです。


さあ、君だけの冒険を探しに行こう

ちろ姫:「そっかぁ…。一つのりんごの木に全部賭けるのは危ないから、いろんな場所に連れて行ってくれるツアー(投資信託)の方がいいのね。でも、嵐が来てニンジンが減っちゃうこともあるし、ガイドさんへのお礼も必要なんだ…。案内書、ちゃんと読まないとだめなんだね」

すっかり賢くなったちろ姫の頭を、てち王は優しく撫でました。

てち王:「うむ。よくぞ理解したな、ちろ姫。それこそが、立派な王女への、そして賢い資産家への第一歩じゃ。さあ、一緒に見てみようか。ここには、星中のツアーのパンフレットがあるのだ」

てち王が指差した先には、色とりどりのパンフレットがずらりと並んでいました。 「S&P500登山隊」「全世界きのこ狩りツアー」…。 ちろ姫は目をキラキラさせながら、てち王と一緒に、自分だけの冒険プランを探し始めました。

あなたも、ちろ姫のように、自分だけの「冒険の案内書」を手に取ってみませんか? それは、あなたの未来を、より豊かでワクワクするものに変えてくれる、魔法の地図になるかもしれません。


用語解説

  • 投資信託(ファンド)
    • 多くの投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が国内外の株式や債券などに分散投資し、その成果を投資家に還元する金融商品。今回の話では「ふわふわ星・わくわく星巡りツアー」に例えられました。
  • 分散投資
    • 投資対象を一つに絞らず、様々な資産や国・地域に分けて投資をすること。一つの投資先が値下がりしても、他の投資先の値上がりでカバーできるなど、リスクを軽減する効果が期待できます。うさぎの格言「一番大事なニンジンは、一つの穴に隠すな」ですね。
  • 信託報酬
    • 投資信託を保有している間、継続的にかかるコスト(手数料)。運用会社、販売会社、信託銀行の3者に支払われます。年率で表示され、日割り計算されて信託財産から差し引かれます。「ツアーガイド料」と覚えておきましょう。
  • 元本割れ
    • 投資した金額(元本)を下回ってしまうこと。投資信託は預金とは異なり、元本が保証されていないため、市場の変動によっては購入時より価値が下がる可能性があります。「嵐が来てお土産が参加費より少なくなること」と、てち王は教えてくれました。
  • 目論見書(もくろみしょ)
    • その投資信託の目的や特徴、投資方針、リスク、手数料などが詳しく記載された説明書。投資信託を購入する前には、必ずこの「案内書」に目を通す必要があります。