【初心者向け】積立投資の始め方を4ステップで解説!新NISAの基本も丸わかり
宇宙のどこか、なにもかもが綿あめのようにふわふわな惑星、その名も「ふわふわ星」。この星では、王様もお城も、そこに住むうさぎ達も、みーんな、もふもふフワフワ。通貨はキラキラと輝く「ニンジン」です。さて、今日も平和なふわふわ星のお城では、なにやら楽しげな声が聞こえてくるようです…。
ちろ姫の壮大すぎる夢
ちろ姫: 「あたち、決めた!将来は、毎日りんごを100個食べるの!」
お城のバルコニーで、干し草をもしゃもしゃと食べながら、高らかに宣言したのは、この星のプリンセス「ちろ姫」。茶色い体に右の前足だけが真っ白な、元気いっぱいのおてんば娘です。まだまだ生まれたばかりで、世の中のことは何も知りません。
てち王: 「ほう、100個か。それはまた、大きく出たな、ちろ姫よ。」
優しく声をかけたのは、ちろ姫のお兄様であり、ふわふわ星の王として君臨する「てち王」。その体は雪のように白く、ところどころに柔らかな茶色が混じっています。星のことなら何でも知っており、その金融・経済知識は宇宙一と噂されるほど。一人称は「朕(ちん)」ですが、妹にはめっぽう甘い、心優しき王様です。
ちろ姫: 「えへへー。だって、りんご美味しいんだもん!朝ごはんに30個、お昼に30個、おやつに10個、夜ごはんに30個!完璧な計画でしょ?」
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、ちろ姫は胸を張ります。その姿を見て、てち王はフッと優しい笑みを浮かべました。
てち王: 「うむ、素晴らしい計画だ。だがな、ちろ姫。その夢を叶えるには、今のちろ姫のニンジン(お小遣い)では、少し…いや、かなり足りないかもしれんぞ?」
ちろ姫: 「えーっ!?そうなの?じゃあ、あたちのりんご100個生活は、夢のまた夢なの…?」
さっきまでの元気はどこへやら。ちろ姫の耳はぺしょん…と力なく垂れてしまいました。キラキラした瞳には、今にも涙が浮かびそうです。
てち王: 「まあ、そう落ち込むな。今日のところは、朕がとっておきの『魔法』を教えてやろう。毎日汗水たらして働かなくても、今持っているニンジンが、将来もっとたくさんのニンジンやリンゴを運んできてくれる、そんな魔法じゃ」
ちろ姫: 「ま、魔法!?ニンジンがニンジンを産むの!?そんなことできるの!?」
しょんぼりしていたちろ姫は、一瞬で目を輝かせました。食べ物のこととなると、彼女の集中力は星一番です。
てち王: 「うむ。その魔法の名は…『積立投資』という」
ニンジンを育てる畑を借りよう
ちろ姫: 「つみたて…とうし?なにそれ、新しいお菓子の名前?」
てち王: 「ははは、違うわ。いいか、ちろ姫。ちろ姫が毎日もらうニンジンを、ただお腹の中に貯め込むのではなく、『未来のための畑』に植えることを想像してみるのじゃ」
ちろ姫: 「はたけ?ニンジンを植えたら、もっとニンジンが生えてくるってこと?」
てち王: 「その通り!『投資』とは、自分のニンジン(お金)を、これからもっと大きく成長しそうな会社や国に分けてあげて、その成長のお手伝いをすることじゃ。そして、会社が大きく成長したら、お礼として、ちろ姫が最初に分けたニンジンよりも、もっとたくさんのニンジンを返してくれる。これが投資の基本的な仕組みじゃ」
ちろ姫: 「へぇー!あたちがニンジンをあげたら、会社さんが喜んで、もっと大きくしてくれるんだ!なんだか良いことした気分!」
てち王: 「うむ。だが、一つの会社だけに全てのニンジンをあげてしまうと、もしその会社が元気がなくなってしまった場合、ちろ姫のニンジンも返ってこないかもしれん。それは悲しいじゃろう?」
ちろ姫: 「やだ!あたちのニンジンがなくなるのは絶対にやだ!」
ぷくーっと頬を膨らませるちろ姫。てち王は優しくその頭を撫でます。
てち王: 「そこで大事になるのが『分散』という考え方じゃ。一つの畑に全ての種を植えるのではなく、世界中にある、たくさんの畑に、少しずつ種を植えていく。日本の畑、アメリカの畑、ヨーロッパの畑…。そうすれば、どこかの畑の元気がなくなっても、他の畑が元気に育って、全体としてはちゃんと収穫ができる、というわけじゃな」
ちろ姫: 「なるほどー!色々な畑に植えれば安心なんだね!でも、世界中の畑なんて、あたち知らないよぉ。どこに植えればいいの?」
てち王: 「良い質問じゃな。そこで登場するのが『投資信託』という、まさに魔法の種袋じゃ」
ちろ姫: 「魔法のたねぶくろ!?」
てち王: 「うむ。この袋の中には、投資のプロ(畑選びの達人)が、世界中から厳選した元気な会社の種(株式)が、何百、何千種類もバランス良く入っておる。我々はこの種袋を一つ買うだけで、自動的に世界中のたくさんの畑に種を植えたことになるのじゃ。これを『インデックス投資』と言う。特に有名な種袋が2つある」
ちろ姫: (ごくり…)
てち王: 「一つは、『S&P500』に連動する種袋。これは、アメリカという、ものすごく肥沃で元気な畑の中から、特に選び抜かれた500の優良な畑にだけ種を植えてくれるものじゃ。力強い成長が期待できるぞ」
てち王: 「もう一つは、『オール・カントリー(全世界株式)』に連動する種袋。これはその名の通り、アメリカだけでなく、ヨーロッパ、日本、その他の国々…全世界の畑に、まるっと種を植えてくれる。究極の『分散』ができる、まさに王道の種袋じゃな。朕も王家の資産は、このオール・カントリーで育てておるぞ」
ちろ姫: 「おーるかんとりー!なんだか強そう!あたちもそれがいい!」
てち王: 「ふむ。良い選択じゃ。ちなみに、具体的な商品名で言うと、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』などが、手数料という畑の管理費も安く、多くのうさぎ達に選ばれておる人気の種袋じゃな」
魔法の始まりは「温室」から
ちろ姫: 「わかった!じゃあ、その『おーるかんとりー』の種袋、今すぐ欲しい!どこで売ってるの?ニンジン八百屋さん?」
てち王: 「落ち着け、落ち着け。ぴょんぴょん跳ねると、自慢の毛並みに土埃がつくぞ。その魔法の種袋は、特別な場所でしか手に入らん。その名を『証券口座』という」
ちろ姫: 「しょうけんこうざ?」
てち王: 「うむ。未来のニンジンを育てるための、ちろ姫専用の特別な『温室』のようなものじゃ。まずは、この温室を用意するところから全てが始まる」
てち王は、すっと一枚の葉っぱを取り出し、そこにサラサラと何かを書き始めました。
てち王: 「いいか、積立投資を始める手順は、大きく分けて4つじゃ」
【積立投資を始める4つのステップ】
- 特別な温室(証券口座)を選ぶ
- 温室の中に『非課税』という仕切りを作る(NISA口座の開設)
- 育てる種袋(投資信託)を選ぶ
- 毎月何本のニンジンを植えるか決める(積立設定)
ちろ姫: 「うわー、なんだか難しそう…」
てち王: 「大丈夫じゃ。一つずつ見ていこう。まず『1. 温室選び』じゃが、これは『ネット証券』と呼ばれる、インターネット上で手続きができる温室が便利じゃ。お城にいながら、スマホやパソコンで簡単に作れる。SBI証券や楽天証券などが、多くのうさぎに利用されておるな」
ちろ姫: 「ネットでできるんだ!それなら簡単そう!」
てち王: 「次に『2. NISA口座の開設』。これが最重要ポイントじゃ。普通、畑でニンジンがたくさん収穫できると、『おめでとう!たくさん育ったから、少し国に納めてね』と、収穫したニンジンの一部を税金として納める必要がある。だが、『NISA』という国が作った特別な仕切りの中で育てたニンジンは、なんと、その税金が一切かからんのじゃ!収穫分は全てちろ姫のものになる!」
ちろ姫: 「ぜ、ぜんぶ!?すごい!絶対その『にーさ』ってやつがいい!」
てち王: 「うむ。使わない手はない。温室(証券口座)を作る時に、『NISAも一緒に作りますか?』と聞かれるから、必ず『はい』と答えるのじゃ。これで準備は万端」
てち王: 「そして、『3. 育てる種袋選び』は、さっき話した通りじゃな。ちろ姫は『オール・カントリー』が良いと言っておったな。温室の中で、その種袋を探してカートに入れるだけじゃ」
てち王: 「最後に『4. 積立設定』じゃ。これは、ちろ姫のニンジン貯金箱から、毎月決まった日に、決まった本数のニンジンを、自動で畑に植えに行ってくれる『自動ニンジン植え機』をセットするようなものじゃ。例えば、『毎月1日に、ニンジンを3本植える』と一度設定してしまえば、あとはちろ姫がぴょんぴょん遊んでいても、寝ていても、機械が勝手に未来の畑を耕してくれる。これを『ドルコスト平均法』と言う」
ちろ姫: 「どるこすとへいきんほう…?」
てち王: 「難しく考えなくて良い。要は、畑の種の値段が高い日(ニンジンがたくさん必要)も、安い日(少ないニンジンで済む)も、気にせず同じ本数のニンジンを買い続けることで、結果的に平均的な値段で種を買い集めることができる、という賢い買い方じゃ。感情で『今日は高いからやめよう』などと迷わなくて済むのが、最大の利点じゃな」
ちろ姫: 「ぜんぶ自動でやってくれるなんて、最高!あたちは遊んでるだけで、りんご100個に近づけるんだね!」
目をキラキラさせるちろ姫。しかし、てち王はここで少しだけ真剣な表情になりました。
一番大切な「肥料」の話
てち王: 「ちろ姫よ。最後に、一番大切なことを教えよう。この魔法の畑は、植えてすぐにたくさんのニンジンが実るわけではない」
ちろ姫: 「え、そうなの?」
てち王: 「うむ。時には、大きな嵐が来て、畑が荒れてしまうこともある。植えたニンジンよりも、収穫できるニンジンが少なくなってしまう年もあるやもしれん。世界中の畑の元気が、一時的になくなってしまうことがあるからのう」
ちろ姫は不安そうな顔で、てち王を見つめます。
てち王: 「だが、そんな時でも、絶対にやってはいけないことがある。それは、『慌てて畑を売ってしまうこと』と『種を植えるのをやめてしまうこと』じゃ。嵐が来ている時というのは、実は畑の種が安く買える絶好の機会なのじゃ。いつもと同じニンジン3本で、普段よりたくさんの種が買える。そして、歴史を振り返れば、世界中の畑は、どんな大きな嵐の後でも、必ず時間をかけて回復し、以前よりももっと大きく豊かになってきた」
ちろ姫: 「じゃあ、どうすればいいの…?」
てち王: 「やることは一つだけ。嵐が来ても、晴れの日と同じように、淡々と『自動ニンジン植え機』にニンジンを供給し続けること。そして、収穫の日が来るまで、『どっしりと待ち続けること』じゃ。この『積立投資』という魔法が本当の力を発揮するには、10年、15年という長い時間が必要不可欠。時間こそが、ニンジンを何倍にも育ててくれる、最高の肥料なのじゃよ」
ちろ姫: 「じゅうごねん…。あたちが、お兄様みたいにフワフワの大人になる頃だね」
てち王: 「そうじゃ。この魔法は、明日のオヤツを増やすためのものではない。ちろ姫が立派な王女になった時、毎日りんごを100個食べても困らないようにするための、未来への贈り物なのじゃ。だから、畑のことは忘れるくらいがちょうど良い。毎日畑の様子を見て一喜一憂するのではなく、どっしりと構えておれ。王女たるもの、目先のニンジン一本に心を乱されてはならんぞ」
ちろ姫: 「うん!わかった!あたち、立派な王女になるために、未来のりんごのために、今日から積立投資を始めてみる!お兄様、教えてくれてありがとう!」
こうして、ちろ姫の壮大な夢から始まった経済レッスンは、幕を閉じました。ちろ姫が毎日りんごを100個食べられるようになるのは、まだ少し先の話。しかし、今日植えた小さな一粒の種が、未来の彼女を支える大きな大樹になることは、間違いありません。あなたのニンジンも、未来のために植えてみてはいかがでしょうか?

用語解説コーナー
今日の物語に出てきた、少し難しい言葉を解説します。
- 積立投資(つみたてとうし)
- 毎月1日など、決まったタイミングで、決まった金額分の金融商品(投資信託など)をコツコツと買い続けていく投資手法のこと。手間がかからず、感情に左右されずに投資を続けやすいのが特徴です。
- 投資信託(とうししんたく)
- 投資家(うさぎ達)から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(畑の達人)が株式や債券などに投資・運用する商品のこと。物語の「魔法の種袋」のように、一つ買うだけで様々な資産に分散投資できるのが魅力です。
- インデックス投資
- 日経平均株価やS&P500といった、市場全体の動きを表す指数(インデックス)と同じような値動きを目指す投資手法。市場の平均点を狙いに行く、手堅く、分かりやすい運用方法です。てち王が勧めた「オール・カントリー」や「S&P500」に連動する投資信託は、この代表格です。
- 分散投資(ぶんさんとうし)
- 投資先を一つの資産に集中させるのではなく、株式、債券、不動産など、また、日本、米国、先進国、新興国など、複数の国や地域に分けて投資すること。物語の「色々な畑に種を植える」考え方で、リスクを抑える効果が期待できます。
- ドルコスト平均法
- 価格が変動する商品を、常に一定の金額で、定期的に買い続ける手法。価格が高い時には少なく、安い時には多く買うことになるため、平均購入単価を抑える効果が期待できます。物語の「自動ニンジン植え機」がこれにあたります。
- NISA(ニーサ / 少額投資非課税制度)
- 個人投資家のための税金優遇制度。通常、投資で得た利益(配当金、分配金、譲渡益)には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益には税金がかかりません。2024年から新NISAが始まり、非課税で保有できる上限額が大幅に拡大され、より使いやすくなりました。
- 証券口座(しょうけんこうざ)
- 株式や投資信託などの金融商品を購入・保管するための専用口座。銀行の預金口座とは別に開設する必要があります。物語の「特別な温室」にあたり、投資を始めるための第一歩となります。
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