【初心者向け】ほったらかし投資の始め方|新NISAで始める資産運用入門
- 2025.10.19
- うさぎで学ぶシリーズ 投資戦略・テクニック
- NISA, インデックス投資, 投資初心者, 積立投資, 資産運用
宇宙のどこかに、何もかもが「ふわふわ」でできている惑星、その名も「ふわふわ星」がありました。星の住人たちは、みんなうさぎ。今日の主役は、この星を治める若き王「てち王」と、その妹である「ちろ姫」です。知識豊富で優しい兄と、元気いっぱいだけどまだまだお勉強中の妹。二匹の日常から、未来を豊かにする「知恵」をこっそり学んでいきましょう。
王様のニンジン畑の秘密
ちろ姫: 「てち兄様〜!どこ〜?あたちと遊んで〜!」
元気いっぱいのちろ姫が、白くてふわふわな雲の上をぴょんぴょんと跳ね回っています。その視線の先には、広大なニンジン畑を満足げに眺めている兄、てち王の姿がありました。その畑は、そこらの畑とはわけが違います。一つ一つのニンジンが太陽の光を浴びてキラキラと輝き、まるで宝石のよう。しかも、その数が尋常ではありません。
ちろ姫: 「わー!てち兄様の畑、ニンジンがいっぱい!すっごく大きいし、ツヤツヤしてる!どうしてそんなにたくさん増やせるの?あたち、毎日りんごをお腹いっぱい食べたいから、育て方を教えてほしいな!」
無邪気に駆け寄るちろ姫を見て、てち王は優しく微笑みます。
てち王: 「おお、ちろ姫か。これはただの畑ではないのだよ。朕の、いや、我々ふわふわ星の未来を支える『資産』が育つ、大切な畑なのだ。そして、このニンジンたちは、特別な『術』で育っている。名付けて…『ほったらかし投資術』じゃ」
ちろ姫: 「ほったらかし…?ニンジンをほったらかしたら、虫さんに食べられちゃうよ!それに『とうしじゅつ』ってなあに?忍術?」
ぴょこんと首を傾げるちろ姫。その純粋な瞳を見て、てち王は妹に、そして未来の王女に、この星で生きていくための重要な知識を授ける時が来たと感じたのでした。
てち王: 「ふふふ。そうだなぁ…ちろ姫。お主が将来、毎日美味しいりんごや干草に囲まれて、ふわふわな玉座で幸せに暮らすために、とっても大事な話をしてやろう。少し長くなるが、よーく聞くのじゃぞ?」
ちろ姫: 「うん!わかった!お耳ぴーんってして聞く!」
こうして、ふわふわ星の玉座のそばで、未来のための特別授業が始まったのです。

ニンジンがお金を生む?魔法の「複利」と「インデックス投資」
てち王: 「まず、ちろ姫。お主がニンジンを1本手に入れたとする。それをどうする?」
ちろ姫: 「えーっと、もぐもぐ食べる!」
てち王: 「うむ、正直でよろしい。だが、もしそのニンジンを食べずに、土に埋めておいたらどうなるかな?」
ちろ姫: 「うーん、腐っちゃうかも?でも、上手くすれば、新しいニンジンが育つ…?」
てち王: 「その通り!普通の畑ならな。だが、『投資』という特別な畑では、ニンジンがただ育つだけではない。育ったニンジンが、さらに新しいニンジンを勝手に生み出してくれるのじゃ。これを『複利』の力と呼ぶ」
てち王は、一本のニンジンをちろ姫に見せます。
てち王: 「このニンジン(お金)が1年間で10%の力で成長するとしよう。最初の100ニンジンは、1年後には110ニンジンになる。普通の考えなら、次の年も10ニンジン増えて120ニンジンになると思うだろう?だが『複利』は違う。増えた10ニンジンも一緒に働いてくれるから、次は110ニンジンの10%、つまり11ニンジンが増える。合計121ニンジンじゃ。その次は12.1ニンジン…という風に、雪だるま式に増えていく。朕のように王としての務め(昼寝やイチゴの味見も含む)で忙しくても、ニンジンたちが勝手に仲間を増やしてくれる。これが『ほったらかし』の極意なのじゃ」
ちろ姫: 「すごーい!ニンジンが分身の術を使うみたい!でも、てち兄様。どこにそんな特別な畑があるの?あたちの畑のニンジンは、そんなに増えないよ?」
ここで、話は核心に迫ります。
てち王: 「良い質問だ、ちろ姫。その特別な畑こそが『投資信託』、特に『インデックスファンド』と呼ばれるものじゃ」
ちろ姫: 「いんでっくす…?なんだか難しそう…もうおやつの時間?」
そわそわし始めるちろ姫の鼻先に、てち王はそっと干草を差し出します。
てち王: 「まあ待て。簡単に言えばこうだ。ちろ姫一匹で、どのニンジンが一番大きく育つか見極めるのは大変だろう?病気になるニンジンもあるかもしれん。しかし、『インデックスファンド』というのは、いわば『宇宙中の優秀なニンジン農家さんたちが共同で運営している巨大な畑』のようなものじゃ。そこには、アメリカという国のすごく元気なニンジンもあれば、ヨーロッパの伝統あるニンジン、日本のきめ細かいニンジンまで、世界中のありとあらゆるニンジンが植えられている」
ちろ姫: 「ぜんぶ入りのニンジンバスケットみたいな感じ?」
てち王: 「まさにそれだ!我々はその畑の権利を少しだけ買う(投資する)だけでいい。そうすれば、プロの農家さんたちが自動で水やりや栄養管理をしてくれるし、もし一つのニンジンが枯れても、他のたくさんのニンジンが育っているから全体としては成長していく。これを『分散投資』と言う。リスクを抑えながら、世界経済全体の成長の恩恵を受けることができる、非常に賢い方法なのじゃ」
さらに、てち王は声を潜めて、とっておきの秘密を打ち明けます。
てち王: 「そしてな、ちろ姫。ふわふわ星政府は、我々国民が豊かになるように、特別な畑を用意してくれておる。それが『NISA(ニーサ)』という制度じゃ。このNISA畑で育ったニンジンは、いくら増えても税金(ふわふわ星では収穫したニンジンの何割かを王に納める義務がある)が一切かからんのだ!」
ちろ姫: 「えー!ぜ、税金がかからない!?それって最強じゃない!?おやつ代が増えるってこと!?」
目の色を変えたちろ姫。どうやら「おやつ」と「税金ゼロ」という言葉が、彼女の心に強く響いたようです。
てち王: 「うむ。NISAには、毎月コツコツ同じ量の種をまく『つみたて投資枠』と、ある程度まとまった種をドカンとまける『成長投資枠』がある。初心者はまず『つみたて投資枠』で、毎月決まった日に決まった額のニンジン(およそ100干草分など)を自動で植え続ける設定をするのがおすすめじゃ。これを『ドルコスト平均法』と言う。ニンジンの値段が高い時は少なく、安い時はたくさん自動で買ってくれるから、タイミングを悩む必要もない。まさに『ほったらかし』に最適なのじゃよ」
究極の選択!S&P500とオルカン、どっちのニンジン畑を選ぶ?
ちろ姫: 「なるほどー!『NISA』っていう光り輝く畑で、『インデックスファンド』っていう全部入りニンジンバスケットを、『ドルコスト平均法』で毎月コツコツ買えばいいんだね!あたち、わかってきたかも!」
得意げに胸を張るちろ姫。しかし、彼女はすぐに新たな疑問にぶつかります。
ちろ姫: 「でも、てち兄様。『全部入り』って言っても、色々種類があるんでしょ?一番強くて美味しいニンジンがいっぱい入ってるバスケットはどれなの?」
てち王: 「鋭いな、ちろ姫。その通り。数ある『インデックスファンド』の中でも、特に人気なのが二つある。いわば、二大勢力じゃな」
てち王は、片方の前足に赤いニンジン、もう片方に虹色のニンジンを乗せて見せました。
てち王: 「一つは、『S&P500』に連動するファンド。これは、『アメリカという超大国の、選ばれし最強エリートうさぎ騎士団500匹』にだけ投資するようなものだ。一匹一匹がとてつもなく強く、成長力も凄まじい。世界経済の中心であるアメリカの成長をダイレクトに享受できるのが魅力じゃ。ただし、もしアメリカがくしゃみをすれば、畑全体が風邪をひいてしまう可能性もゼロではない」
ちろ姫: 「最強の騎士団!かっこいい!じゃあ、もう一つは?」
てち王: 「もう一つは、『全世界株式(通称:オルカン)』に連動するファンド。これは、『アメリカの騎士団も含め、ヨーロッパ、日本、アジアなど、世界中のうさぎ騎士団すべて』に投資するようなものじゃ。一つ一つの国の力はアメリカに及ばないかもしれんが、全世界に散らばっているから、どこかの国が不調でも他の国がカバーしてくれる。究極の分散投資と言えるだろう。安定感は抜群じゃが、成長力は良くも悪くも『世界平均』になる」
ちろ姫: 「うーん、悩む…。最強の一点集中か、安心の全世界か…。てち兄様ならどっちを選ぶ?」
てち王は、ちろ姫の頭を優しく撫でました。
てち王: 「どちらが正解、というわけではないのだよ。未来のことは誰にも分からんからな。朕個人の意見を言うならば、世界の中心であるアメリカの力を信じるならS&P500。いやいや、これからはアメリカ以外の国も伸びてくるはず、全てに賭けておきたいと思うなら全世界株式じゃ。大切なのは、どちらかを選んだら、あとはコロコロと方針を変えずに、どっしりと構えて畑の成長を見守ること。うさぎは臆病な生き物だが、投資においては、嵐が来てもぴょんぴょん逃げ出さず、じっと待つ『胆力』が試されるのじゃ」
最初の一歩を踏み出す勇気
長いようで短かった特別授業も、そろそろ終わりの時間です。
ちろ姫: 「そっかー!つまり、ニンジン(お金)に働いてもらって、あたちはその間にぴょんぴょん遊んだり、お昼寝したりしてていいってこと!?なんだか夢みたい!」
てち王: 「その通りだ、ちろ姫。それこそが『ほったらかし投資術』の最大の魅力だからな。だが、忘れてはならん。この術を始めるには、最初の一歩が不可欠じゃ。まずは、畑を耕す作業…つまり『証券会社の口座を開設』せねば始まらん」
ちろ姫: 「しょうけんがいしゃ…?」
てち王: 「うむ。NISA畑を使わせてくれたり、世界中のニンジンバスケットを買う手伝いをしてくれるお店のようなものだ。今はスマホ一つで、干草を食べながらでも簡単に開設できる。それが終われば、あとは毎月コツコツ種をまく設定をするだけ。さあ、ちろ姫。未来の美味しいりんごのために、最初の一歩を踏み出す勇気はあるかな?」
てち王の言葉に、ちろ姫の瞳がキラリと輝きました。まだ小さなプリンセスですが、その瞳には、自分の未来を自分で切り開く、次期王女としての確かな光が宿っていました。
ちろ姫: 「うん!あたち、やってみる!未来のあたちのために、最強のニンジン畑を作るんだ!」
こうして、ちろ姫の壮大な資産形成の冒険が幕を開けたのでした。もちろん、道中ではニンジンの価格が下がって不安になったり、もっと儲かりそうな隣の畑が気になったりすることもあるでしょう。しかし、今日の兄の教えを胸に、彼女はきっと長期的な視点で、どっしりと資産を育てていくはずです。あなたのニンジン畑作りも、今日この瞬間から、始めることができるのですよ。

【用語解説】
今回の物語に登場した、少し難しい言葉を分かりやすく解説します。
- ほったらかし投資: 一度投資する商品を決めて積立設定をしたら、後は頻繁に売買せず、長期的に資産を保有し続ける投資スタイル。日々の値動きに一喜一憂せず、長期的な経済成長の恩恵を受けることを目的とします。
- 複利 (Compound Interest): 投資で得た利益を元本に加えて再投資することで、利益が利益を生む効果のこと。運用期間が長くなるほど、雪だるま式に資産が増えていくため、「人類最大の発明」とも呼ばれます。
- 投資信託 (Investment Trust / Mutual Fund): 多くの投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券など様々な金融商品に分散して投資・運用する金融商品。少額から手軽に分散投資が始められるのが魅力です。
- インデックス投資 (Index Investing): 日経平均株価や米国のS&P500といった、市場全体の動きを示す指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資手法。市場の平均点を狙う、シンプルで低コストな運用が特徴です。
- 分散投資 (Diversification): 投資先を一つの商品や国・地域に集中させず、複数の対象に分けて投資すること。これにより、特定の投資先が値下がりした際のリスクを低減させる効果が期待できます。
- NISA(新NISA): 個人投資家のための税制優遇制度。NISA口座内で得た株式や投資信託などの売却益や配当金が非課税になります。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、併用も可能です。
- ドルコスト平均法 (Dollar-Cost Averaging): 金融商品を一度に購入するのではなく、定期的に一定の金額で購入し続ける投資手法。価格が高い時には少なく、安い時には多く購入することになるため、平均購入単価を抑える効果が期待できます。
- S&P500: 米国の代表的な株価指数の一つ。ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している代表的な500社の株式で構成されており、米国株式市場全体の動向を示す指標とされています。
- 全世界株式(オルカン): その名の通り、日本を含む先進国や新興国など、世界中の株式に投資するインデックスファンドの通称。「オール・カントリー」が由来です。これ一本で世界中に分散投資できる手軽さから、絶大な人気を誇ります。
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