【初心者向け】株式投資とは?仕組みをうさぎでも分かるようにやさしく解説
宇宙のどこか、綿菓子のような雲とマシュマロの地面が広がる「ふわふわ星」。そこに住む生き物たちは、みんなとってもフワフワしています。この星の通貨は、キラキラと輝く「ニンジン」。今日も平和な一日が始まります。
ちろ姫:「わーい!わーい!今日のニンジンは、ぴっかぴかでおっきいぞー!」
ふわふわ星のお姫様、ちろ姫がニンジン畑でぴょんぴょん跳ねています。彼女はまだ生まれたばかりで、見るものすべてが新鮮。その茶色い体のうち、右手だけが真っ白なのがチャームポイントです。バスケットいっぱいに収穫したニンジンを抱え、満足そうに鼻をひくひくさせています。
ちろ姫:「てちお兄様ー!見て見て!あたちのニンジン、すっごく立派でしょ!これをぜーんぶ貯めたら、あたち、お城みたいな干草のおうちと、りんごの木を100本買えるかなぁ?」
てち王:「ふふ、それは素晴らしい夢だな、ちろ姫。だがな、ただバスケットに貯めておくだけでは、その夢を叶えるには少し時間がかかるかもしれんぞ。」
現れたのは、ちろ姫の兄であり、このふわふわ星を治める、てち王。その体は雪のように白く、ところどころに柔らかな茶色が混じっています。王としての威厳と、兄としての優しさが同居した声で、妹に語りかけます。一人称は「朕(ちん)」。
ちろ姫:「えー、そうなの?でも、毎日コツコツ畑で頑張れば、いつかはいっぱいになるよ?」
てち王:「もちろんだ。労働の尊さは、この星の誰もが知るところ。だがな、姫。賢い王女になるためには、もう一つのニンジンを増やす方法を知っておく必要がある。それは、朕たちが育てたニンジンに、さらに働いてもらう方法だ。」
ちろ姫:「ニンジンが働くの?ニンジンさん、手も足もないのに?」
てち王:「うむ。今日は特別に、朕がその秘密…『株式投資』という魔法について教えてやろう。これが分かれば、ちろ姫の夢はもっと早く叶うかもしれんぞ。」
そう言って、てち王はフワフワの雲の椅子に腰掛け、未来の女王への、少し大人びた講義を始めるのでした。
『かぶしきとうし』って、おいしいの?

ちろ姫:「かぶしきとーし?なあに、それ?カブのステーキみたいなもの?あたち、カブよりリンゴの方が好きなんだけど…。」
おやつのことだと思ったのか、ちろ姫はもぐもぐと口を動かす真似をします。てち王は優しく微笑み、首を横に振りました。
てち王:「はは、違うぞ、姫。食べ物ではない。そうだな…一言で言うなら、『未来が楽しみな会社を応援して、仲間になること』だ。」
ちろ姫:「かいしゃ?おうえん?あたち、ぴょんぴょん応援団なら得意だよ!」
その場で元気よくジャンプするちろ姫を見て、てち王はさらに分かりやすく説明を続けます。
てち王:「例えば、このふわふわ星で一番人気の『もぐもぐキャロット社』を思い浮かべてみよ。あそこのニンジンジュースは絶品だからな。」
ちろ姫:「うん!あそこのジュース、すっごく甘くて美味しい!毎日飲みたい!」
てち王:「うむ。その『もぐもぐキャロット社』が、『もっと美味しいジュースを作るために、新しくて大きな畑と、キラキラのジュース製造機が欲しい!』と考えたとしよう。しかし、そのためにはたくさんのニンジン(お金)が必要になる。」
ちろ姫:「ふむふむ。」
てち王:「そこで、『もぐもぐキャロット社』はこう言うんだ。『私たちの未来を信じて、ニンジンを分けてくれるうさぎさんはいませんか?そのお礼に、私たちの会社の”オーナーになる権利”の一部を差し上げます!』と。この”オーナーになる権利”こそが、『株式』なんだ。そして、その株式をニンジンで買う行為が『株式投資』というわけだ。」
ちろ姫:「おーなー?それになると、どうなるの?」
てち王:「良い質問だ。オーナーになるということは、その会社の持ち主の一人になるということ。つまり、ちろ姫が『もぐもぐキャロット社』の株を買えば、姫はただのジュースのファンではなく、会社の成長を一緒に見守る仲間、つまり”株主”になるんだ。」
ちろ姫:「あたちが、あの会社の仲間…!なんだか、かっこいい!」
目をキラキラさせるちろ姫。彼女の中で、「かぶしきとうし」が美味しい食べ物から、何やらすごいものへと変わり始めた瞬間でした。
ニンジンはどうやって増えるの?株がもたらす2つの嬉しいこと
ちろ姫:「てちお兄様!仲間になるのは分かったけど、それで、あたちのニンジンはどうやって増えるの?バスケットのニンジンが、応援しただけで増えるなんて、魔法みたい!」
いよいよ本題です。ちろ姫の素朴な疑問は、投資初心者が抱く最も核心的な問いと同じ。てち王は、大きく頷き、指を二本立てました。
てち王:「うむ。魔法のように見えるかもしれんが、しっかりとした仕組みがある。株式投資でニンジンが増える主な方法は、二つある。心して聞くように。」
1.会社の利益のおすそ分け『配当金(インカムゲイン)』
てち王:「まず一つ目は、『配当金』だ。『もぐもぐキャロット社』が、新しい畑と機械のおかげで、これまで以上に美味しいジュースをたくさん作って、たくさんのニンジンを儲けたとしよう。」
ちろ姫:「わーい!美味しいジュースがいっぱい!」
てち王:「会社は儲かったニンジンで、さらに新しい畑を買うこともできるが、それだけではない。『応援してくれた株主のうさぎさんたち、いつもありがとう!おかげでこんなに儲かりました。この利益の一部を、お礼として皆さんにお配りします』と、儲けの一部を株主に分けてくれることがある。これが『配当金』だ。」
ちろ姫:「え!何もしなくても、ニンジンがもらえるの!?」
てち王:「そうだ。会社を応援してくれたことへのお礼だな。まるで、大切に育てたニンジン畑から、毎年収穫が得られるようなものだ。持っているだけで定期的にお礼がもらえるから、英語で『インカムゲイン』とも呼ばれている。」
ちろ姫:「いんかむげいん!なんだか難しいけど、毎年ニンジンがもらえるなんて、夢みたい!それなら、配当金をくれる会社をいっぱい応援すれば、あたち、毎日干草食べ放題だ!」
てち王:「ふふ、その通りだ。長期的に会社を応援し続けることで、安定的にお礼を受け取る。これが株式投資の大きな魅力の一つだぞ。」
2.人気が出たら価値が上がる!『値上がり益(キャピタルゲイン)』
てち王:「そして二つ目の増やし方。これが株式投資の醍醐味とも言える、『値上がり益』だ。」
ちろ姫:「ねあがりえき?」
てち王:「うむ。『もぐもぐキャロット社』のジュースが『宇宙一おいしい!』と大評判になったら、どうなると思う?」
ちろ姫:「みんなが飲みたがる!お店の前に、長ーい行列ができる!」
てち王:「その通り!そして、会社のジュースが大人気になると、今度は『私もあの会社のオーナーになりたい!』と、『もぐもぐキャロット社』の株を欲しがるうさぎがどんどん増えてくる。」
ちろ姫:「うんうん!」
てち王:「みんなが欲しがるものは、価値が上がる。そうだろ?例えば、ちろ姫が最初に1株を10ニンジンで買ったとしよう。でも、会社の人気が出て、たくさんのうさぎが『その株を譲ってくれ!』と言い出したら、どうなる?」
ちろ姫:「えーっと…もっとたくさんのニンジンをくれないと、譲ってあげない!」
てち王:「正解だ。ちろ姫が10ニンジンで買った株を、『20ニンジンで売ってください!』といううさぎが現れるかもしれない。もしそこで売れば、最初に払った10ニンジンの他に、差額の10ニンジンが利益として手に入る。この、買った時と売った時の値段の差で得られる利益を『値上がり益』と言う。資産(キャピタル)が増えるから、『キャピタルゲイン』とも呼ばれるな。」
ちろ姫:「わー!10ニンジンが20ニンジンに化けた!これこそ本当の魔法だ!」
ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶちろ姫。しかし、てち王は優しく、そして真剣な眼差しで、大切なことを付け加えるのを忘れませんでした。
知っておくべき大切なこと – 魔法にはリスクも伴う
ちろ姫:「てちお兄様、すごいすごい!じゃあ、あたち、バスケットのニンジンを全部使って、色々な会社の株を買ってくる!そうすれば、あっという間にニンジン御殿が建つぞー!」
今にも駆け出しそうになる妹を、てち王は優しく手で制します。
てち王:「待つのだ、ちろ姫。話はまだ終わっておらん。光が強ければ、影もまた濃くなるもの。株式投資には、知っておかねばならぬ大切な注意点…『リスク』がある。」
ちろ姫:「りすく…?」
さっきまでの興奮が少し冷め、ちろ姫は不思議そうに首を傾げます。
てち王:「そうだ。例えば、『もぐもぐキャロット社』が、天候不順でニンジンが全然採れなくなったり、新しく作ったジュースが全然おいしくなくて、誰にも売れなくなってしまったら、どうなる?」
ちろ姫:「え…。会社のニンジンが減っちゃう…。みんな、ジュースを飲まなくなるかも…。」
てち王:「うむ。会社の儲けが減ると、『この会社を応援しても、配当金はもらえそうにないな』『この会社の未来はちょっと心配だ』と考えるうさぎが増える。すると、今度は株を欲しがるうさぎが減り、逆に『今のうちに売ってしまおう』といううさぎが増える。」
ちろ姫:「あ…。」
てち王:「そうなると、株の価値は下がってしまう。ちろ姫が10ニンジンで買った株が、5ニンジンに値下がりしてしまうこともある。その時に売ってしまうと、5ニンジンの”損”が出ることになる。さらに、万が一会社が倒産(会社がなくなってしまうこと)すれば、その株の価値はゼロになってしまう可能性だってあるのだ。」
ちろ姫:「ぜ、ゼロ…!?あたちの大事なニンジンが、なくなっちゃうの…?」
急にしょんぼりとして、長い耳がぺたんと垂れてしまうちろ姫。てち王は、そんな妹の頭を優しく撫でました。
てち王:「そうだ。だからこそ、株式投資は『どの会社を応援するか』を真剣に考える必要がある。その会社がどんなものを作っているのか、ちゃんと儲かっているのか、これからもっと成長しそうか。そういったことをしっかり調べて、自分の大切なニンジンを託す先を決める。これが何よりも重要なのだ。決して、適当に選んではいけない。」
ちろ姫:「そっか…応援するからには、その会社のこと、ちゃんと知らないとダメなんだね。」
てち王:「その通りだ。ギャンブルのように運任せにするのではなく、未来を信じられる会社を見つけ出し、長い目で応援していく。それが、株式投資の本来の姿なのだからな。」
てち王の言葉に、ちろ姫は顔を上げました。ただニンジンが増えるという甘い話だけでなく、その裏にある責任とリスクを理解したことで、彼女の瞳には、先ほどよりも深い輝きが宿っていました。
未来への一歩 – 応援から始まる資産づくり
てち王:「どうだ、ちろ姫。少しは『株式投資』について分かったかな?それは、ただニンジンを増やすためのゲームではない。未来を良くしようと頑張っている会社を見つけ、その成長を応援し、その結果として得られた果実を、会社と一緒に分かち合うことなのだ。」
ちろ姫:「うん!分かった!なんだか、すっごくワクワクしてきた!あたち、ふわふわ星をもっと元気にするような、すごい会社を応援してみたい!」
垂れていた耳が、再びぴんと天を向きます。不安が希望に変わった瞬間です。
てち王:「うむ、それでこそ朕の妹だ。良い心がけだ。では、まずはどんな会社がこの星にあるのか、一緒に調べてみることから始めようか。人間界ではな、『証券会社』という場所で自分専用の窓口(口座)を開くことから、この冒険は始まるんだ。」
ちろ姫:「しょうけんがいしゃ!うん、冒険の始まりだね!てちお兄様、早く行こうよ!」
てち王:「はは、落ち着け姫。まずは腹ごしらえだ。朕はイチゴが食べたい気分だな。」
こうして、ふわふわ星の未来の女王は、経済という新しい世界への大きな一歩を踏み出しました。彼女のバスケットの中のニンジンが、いつか大きな夢を叶えるための、力強い仲間になることを信じて。
株式投資は、怖いもの、ギャンブルのようなもの、というイメージがあったかもしれません。しかし、その本質は、社会を支える企業を応援し、その成長と共に自らの資産も成長させていく、未来への前向きな活動です。ちろ姫のように、まずは「どんな会社があるんだろう?」と興味を持つことから始めてみませんか?その小さな好奇心が、あなたの未来を豊かにする、最初の扉を開けてくれるはずです。

本日の用語解説
- 株式
- 株式会社が、事業に必要な資金を集めるために発行する証明書のようなもの。「会社のオーナー(所有者)になる権利」の一部であり、これを持っている人のことを「株主」と呼びます。
- 株式投資
- 企業の株式を購入し、株主になること。企業の成長による利益の一部を受け取ったり、株価の上昇によって資産を増やすことを目指す、代表的な資産運用方法の一つです。
- 配当金(インカムゲイン)
- 企業が事業活動で得た利益の一部を、株主に対して分配するお金のこと。株を保有しているだけで定期的にもらえる収入(インカム)なので、インカムゲインと呼ばれます。すべての企業が出すわけではなく、企業の業績や方針によって異なります。
- 値上がり益(キャピタルゲイン)
- 購入した株式の価格が上昇した時に売却することで得られる利益のこと。例えば、10万円で買った株が12万円になった時に売れば、2万円の値上がり益(キャピタルゲイン)が得られます。逆に、値下がりして損をすることを「キャピタルロス」と言います。
- 証券会社
- 株式や投資信託などの金融商品を売買したい人と、金融市場とを繋ぐ仲介役を果たしてくれる会社のこと。株式投資を始めるには、まず証券会社で自分専用の取引口座(証券口座)を開設する必要があります。
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