【うさぎでもわかる】配当金投資の始め方!不労所得と複利の仕組みを世界一やさしく解説
- 2025.10.20
- うさぎで学ぶシリーズ 投資戦略・テクニック
- 投資初心者, 株式投資, 複利, 資産形成, 配当金
プロローグ:ふわふわ星の穏やかな午後
宇宙のどこか、なにもかもが綿菓子のようにふわふわな惑星、その名も「ふわふわ星」。この星では、王様も、お城も、そこに住まう民も、みんなふわふわしています。通貨はキラキラと輝く「ニンジン」。今日も、ふわふわ星は平和そのものです。
ふわふわの雲でできたお城のバルコニーでは、真っ白でところどころ茶色い毛が混じったうさぎ、てち王が書類に目を通しています。その足元では、体が茶色で右手だけが白い妹のちろ姫が、干草をもしゃもしゃと食べながらゴロゴロしていました。
ちろ姫:「はぁ〜…あたち、毎日こうして美味しいおやつを食べて、ぴょんぴょん飛び跳ねているだけで、お空からニンジンが降ってこないかなぁ…」
てち王:「(書類から顔を上げ、優しく微笑みながら)ちろ姫よ。そんなうまい話はないのだぞ。立派な王女になるためには、毎日コツコツと学び、働くことが大切…」
ちろ姫:「えー!でも、お兄ちゃまはいつも難しい顔をして書類を見ているだけなのに、たくさんのニンジンを持っているじゃない!ずるい!あたちも、働かないでニンジンが欲しい!」
てち王:「ふふ、ちろ姫。実はな、ちろ姫の言う『働かずにニンジンを得る』に、とても近い仕組みがこの世には存在するのだぞ」
ちろ姫:「(ぴょこん!と耳を立て、飛び起きる)えっ!?本当!?なあに、なあにそれ!あたちにも教えて!」
てち王:「うむ。では今日は、朕が大切にしている『ニンジンのなる木』の話をしてやろう。これは、将来王女になるちろ姫にとっても、必ず役に立つ知識だ」
ニンジンのなる木?「配当金」という魔法の果実
「ニンジンのなる木」という言葉に、ちろ姫の瞳はキラキラと輝き始めました。それは一体、どんな魔法なのでしょうか。
ちろ姫:「ニンジンのなる木!?どこにあるの?あたち、今すぐその木が欲しい!りんご味のニンジンがなるといいな!」
てち王:「はは、落ち着きなさい、ちろ姫。本物の木ではないのだ。これは例え話だぞ。朕が言っているのは『配当金(はいとうきん)』という仕組みのことだ」
ちろ姫:「は、はいとーきん…?なあに、それ。美味しいの?」
てち王:「ある意味、とても美味しいものだぞ。良いか、ちろ姫。このふわふわ星には、様々な『会社』があるだろう?例えば、我々が毎日飲んでいる美味しいニンジンジュースを作っている『ぴょんぴょんキャロット社』とかな」
ちろ姫:「うん!あそこのジュース、だーいすき!」
てち王:「その会社の『株(かぶ)』を買うということは、その会社の一部を所有する、つまり『オーナーの一員』になるということなのだ。これを『株主(かぶぬし)』と言う」
ちろ姫:「あたちが…ぴょんぴょんキャロット社のオーナーに!?なんだかすごそう!」
てち王:「うむ。そして、会社がジュースをたくさん売って利益を出すとだな、その利益の一部を『会社を所有してくれてありがとう』という感謝のしるしとして、株主たちに分けてくれるのだ。この、分け前のニンジンのことを『配当金』と呼ぶのだよ」
ちろ姫:「わー!じゃあ、あたちがぴょんぴょんキャロット社の株を持っていたら、会社が頑張ってくれるだけで、あたちのところにニンジンが届くってこと!?」
てち王:「その通りだ。自分が野良仕事でニンジンを掘りに行かなくても、会社のうさぎたちが頑張って働いてくれたおかげで、定期的にニンジンがもらえる。これこそが、朕が言った『働かずにニンジンを得る仕組み』の正体…いわば、『不労所得』というものなのだ」
「不労所得」。なんと魅力的な響きでしょう。ちろ姫は、自分が豪華なニンジンのお風呂に浸かっている姿を想像し、うっとりとしていました。これが、配当金投資の持つ最初の大きな魅力、すなわち「資産が資産を生む」という魔法の第一歩なのです。
魔法をさらに強力に!「複利」という雪だるま
配当金という仕組みを理解し、すっかりご機嫌なちろ姫。しかし、てち王が語る「ニンジンのなる木」の本当のすごさは、ここからでした。
ちろ姫:「すごーい!じゃあ、あたち、もらった配当金のニンジンで、毎日りんごを買う!干草もいっぱいたべる!」
てち王:「それも良いだろう。だがな、ちろ姫。その配当金をすぐに使ってしまうのは、少しもったいないかもしれぬぞ。もっとすごい魔法があるのだが…聞いてみるか?」
ちろ姫:「もっとすごい魔法!?聞く聞く!」
てち王:「それはな、『配当金再投資(はいとうきんさいとうし)』という魔法だ」
ちろ姫:「さいとーし…?」
てち王:「うむ。例えば、ぴょんぴょんキャロット社の株を持っていて、配当金として10本のニンジンをもらったとしよう。その10本を食べるのではなく、そのニンジンで、さらにぴょんぴょんキャロット社の株を買い増すのだ」
ちろ姫:「えー!食べちゃうのがいいのに!なんでそんなことするの?」
てち王:「良い質問だ。考えてみよ。最初に持っていた株に、買い増した分の株が加わるだろう?すると、次に配当金がもらえる時、もらえるニンジンの量はどうなると思う?」
ちろ姫:「えーっと…?株が増えたから…あ!もらえるニンジンも増える!」
てち王:「その通り!そして、その増えた配当金で、さらにまた株を買う。すると、次の配当金はもっと増える。これを繰り返していくと、どうなると思う?」
ちろ姫:「どんどん…どんどん…ニンジンが増えていく!?」
てち王:「うむ!最初は小さなニンジンの欠片のような配当金でも、それを繰り返し投資に回していくことで、資産がまるで雪玉を転がすように、どんどん大きく膨れ上がっていくのだ。この魔法のような力を『複利(ふくり)』の力と呼ぶ。アインシュタインという地球の賢者は、これを『人類最大の発明』と呼んだそうだ」
もらった配当金(利息)が、さらに新しい配当金(利息)を生む。まさに、ニンジンがニンジンを産む状態です。この「複利」の力を最大限に活かすことが、配当金投資で長期的に大きな資産を築くための鍵となります。てち王の言う「ニンジンのなる木」とは、ただ果実がなるだけでなく、その果実が新たな苗となり、森を育てていくような、壮大な仕組みだったのです。
王女への道は甘くない!知っておくべきリスク
複利という最強の魔法を知ったちろ姫。その頭の中は、もはやニンジンでできたお城でいっぱいです。しかし、ここで優しい兄であるてち王は、大切なことを教えます。
ちろ姫:「わかった!あたち、お年玉でもらったニンジンを全部、ぴょんぴょんキャロット社の株に変える!そしたら、来年にはニンジン御殿が建つはず!」
てち王:「こらこら、ちろ姫。話が飛躍しすぎだぞ。世の中、そんなに甘くはない。ニンジンのなる木を育てるには、知っておかなければならない危険もあるのだ」
ちろ姫:「きけん?」
てち王:「うむ。まず一つ目は、会社の業績が悪くなるリスクだ。もし、ぴょんぴょんキャロット社が、まずいジュースを作ってしまって、全然売れなくなったらどうなる?」
ちろ姫:「え…利益が出ない…?じゃあ、あたちの配当金は…?」
てち王:「そうだ。利益が出なければ、株主に分け与えるニンジンもなくなってしまう。配当金が減らされる『減配(げんぱい)』や、ゼロになる『無配(むはい)』ということもあるのだ」
ちろ姫:「そ、そんなのやだー!」
てち王:「さらに、会社の価値そのものが下がって、ちろ姫が最初に投資したニンジンよりも、株の価値が下がってしまう『元本割れ(がんぽんわれ)』のリスクもある。ニンジンのなる木だと思っていたものが、枯れ木になってしまう可能性もゼロではないのだ」
ちろ姫:「うぅ…じゃあ、どうしたらいいの…?やっぱり、働かないでニンジンをもらうなんて、無理なの…?」
しょんぼりとうなだれるちろ姫の頭を、てち王は優しく撫でました。
てち王:「大丈夫だ、ちろ姫。ちゃんと、危険を避けるための知恵もある。それが『分散投資(ぶんさんとうし)』だ」
ちろ姫:「ぶんさん…?」
てち王:「うむ。『すべてのニンジンを一つのカゴに盛るな』という格言があってな。ぴょんぴょんキャロット社だけに全てのニンジンを投資するのではなく、例えば、干草を作っている『ふわふわファーム』や、りんごを育てている『しゃきしゃきアップル園』の株も少しずつ持っておくのだ」
ちろ姫:「どうして?」
てち王:「もし、ニンジンが不作の年でも、干草やりんごは豊作かもしれないだろう?一つの会社の業績が悪くても、他の会社が頑張ってくれれば、全体としてもらえる配当金の量は安定する。様々な種類の木を植えて、森を作るイメージだな。そうすれば、どれか一本が枯れても、森全体は生き続けるのだ」
投資に絶対はありません。しかし、リスクを正しく理解し、資産を一つに集中させず、様々な会社や国に分けて投資する「分散投資」を心掛けることで、そのリスクを大きく減らすことができます。これは、配当金投資に限らず、すべての資産運用の基本となる、非常に重要な考え方なのです。
未来の王女、資産形成の第一歩

てち王の丁寧な教えにより、ちろ姫は「配当金」というものが、ただの魔法ではなく、リスク管理と長期的な視点が必要な、奥深いものであることを学びました。
ちろ姫:「そっかぁ…。ニンジンのなる木は、植えてすぐに御殿が建つ魔法の木じゃなくて、嵐や虫に負けないように、色々な種類の苗を植えて、何年も何年もかけて、コツコツと森に育てていくものなんだね!」
てち王:「(満足そうに頷き)その通りだ、ちろ姫。よく理解したな。焦らず、じっくりと、自分の森を育てていく。それが、配当金投資の本当の魅力であり、王族としての資産の守り方でもあるのだぞ」
ちろ姫:「うん!あたち、立派な王女になるために、これからはおやつのことだけじゃなくて、ニンジンの森を育てる勉強もする!」
てち王:「それでこそ朕の妹だ。よく頑張ったな。ご褒美に、とっておきのイチゴをやろう」
ちろ姫:「わーい!お兄ちゃま、だーいすき!」
こうして、ちろ姫の金融教育の第一歩は、甘いイチゴの味と共に幕を閉じました。彼女が自分だけの「ニンジンの森」を育て、立派な王女になるのは、まだ少し先の話。しかし、今日学んだ知識は、彼女の未来をきっと豊かにしてくれることでしょう。そしてそれは、この記事を読んでくださっている、あなたの未来にも繋がっているのかもしれません。
用語解説
今回の物語で登場した、大切な金融用語を簡単におさらいしましょう。
- 配当金(はいとうきん)
企業が稼いだ利益の一部を、株主(会社のオーナー)に分配するお金のこと。インカムゲインとも呼ばれます。 - 株主(かぶぬし)
企業の「株式」を保有している個人や法人のこと。会社のオーナーの一員であり、配当金を受け取る権利などを持っています。 - 不労所得(ふろうしょとく)
自分自身が労働した対価として得るのではなく、保有している資産(株、不動産など)から得られる所得のこと。 - 配当金再投資(はいとうきんさいとうし)
受け取った配当金を使って、同じ銘柄または別の銘柄の株式をさらに買い増すこと。 - 複利(ふくり)
元本(最初に投資したお金)だけでなく、その元本から生じた利息(配当金など)にも、さらに利息がつくこと。長期的に資産を雪だるま式に増やす原動力となります。 - 減配(げんぱい)/無配(むはい)
企業の業績悪化などにより、配当金の額が前期よりも減らされること(減配)、または支払いがなくなること(無配)。 - 分散投資(ぶんさんとうし)
投資先を一つの商品や銘柄に集中させるのではなく、複数の対象に分けて投資することで、リスクを低減させる手法。資産運用の基本中の基本とされています。
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