AIブームは本物?投資家が注目する米国・日本のAI関連銘柄を徹底解説

AIブームは本物?投資家が注目する米国・日本のAI関連銘柄を徹底解説

宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星、その名も「ふわふわ星」。この星の通貨は、甘くて美味しい「ニンジン」です。 ある晴れた日の午後、ふわふわ星の王宮では、いつものように穏やかな時間が流れていました。玉座で山積みのニンジン書類に目を通すのは、この星の若き王「てち王」。その傍らでは、妹の「ちろ姫」が、干し草のクッキーをもしゃもしゃと食べながら、ぴょんぴょんと跳ね回っています。

そんな平和な光景に、ゆっくりと、しかし着実に近づいてくる一つの影がありました。

ノンビリ・タートル: 「てち王様、こんにちは。少しご相談したいことがあり、ノンビリ星からやってまいりました。」

甲羅に最新の経済新聞(亀族特製・防水仕様)を乗せた、ノンビリ・タートルの登場です。彼は、お金はコツコツ貯金するのが一番だと信じていますが、最近の世の中の動きに少しだけ心を揺さぶられていました。

てち王: 「おお、タートル殿。ようこそふわふわ星へ。朕はいつでも歓迎するぞ。して、相談とは何かな?ニンジンクッキーを食べるかね?」

ちろ姫: 「あたちも食べるー!タートルしゃん、こんにちは!」

口の周りをクッキーの粉だらけにしながら、ちろ姫が挨拶をします。

ノンビリ・タートル: 「これはご丁寧に。ありがたく頂戴いたします。実はですな…最近、わしの星でも『AI(エーアイ)』という言葉をよく耳にするのです。なんでも、世界をガラリと変えてしまうほどの凄い技術だとか。しかし、わしのような者には、何がどう凄いのか、さっぱりでして…。投資の世界でもブームになっていると聞き、気にはなるのですが、どうにも怖くて一歩が踏み出せないのです。」

ちろ姫: 「えーあい?それって、新ちいリンゴの品種でしゅか?甘くておいちいの?」

てち王: 「はっはっは。ちろ姫、それは違うぞ。だが、良い質問だ。タートル殿も、ちろ姫も、よく聞くがよい。AIは確かに、我々の未来を大きく、そして美味しく変える可能性を秘めた、とてつもない技術なのじゃ。」

AIって一体なに?なぜ世界はこんなに盛り上がっているの?

ノンビリ・タートル: 「ほう…未来を美味しく、ですか。それは興味深いですな。」

てち王: 「うむ。まずAI、すなわち『人工知能』とは、簡単に言えば、機械が人間のように考え、学ぶ技術のことじゃ。例えば、ここに1万種類のニンジンの絵があったとしよう。それをAIに見せ続けると、AIは自ら『ニンジンの特徴』を学習し、次に新しい絵を見せられた時に『これはニンジンだ』と判断できるようになる。」

ちろ姫: 「へぇー!あたちより賢いでしゅね!あたちはニンジンかダイコンか、たまに間違えちゃうのに…。」

てち王: 「ふふ、そういうことだ。そして最近特に話題になっているのが『生成AI』というもの。これは学習するだけでなく、新しいものを”創り出す”ことができるAIじゃ。例えば、朕が『ぴょんぴょん跳ねる、宇宙一かわいいお姫様の絵を描いて』と命令すれば、ちろ姫そっくりの絵を描いてくれる。あるいは、『ニンジンを使った新しいお菓子のレシピを考えて』と頼めば、誰も思いつかなかったような絶品レシピを生み出してくれるのじゃ。」

ノンビリ・タートル: 「なんと…!それはまるで魔法ですな。絵描きや料理人の仕事がなくなってしまうのでは…?」

てち王: 「良い視点じゃな、タートル殿。確かに、一部の仕事はAIに置き換わるかもしれん。しかし、多くの専門家は、人間がAIを『道具』として使いこなし、これまで以上に創造的な仕事ができるようになると考えておる。例えば、料理人が生成AIにレシピのアイデアを出してもらい、それを元に最高の料理を創り上げる、といった具合にの。」

てち王は続けます。なぜ今、これほどまでにAIがブームになっているのか。その理由は大きく二つある、と。

てち王: 「一つは、コンピュータの性能が爆発的に進化したこと。特に『GPU』と呼ばれる、画像を処理する装置が、AIの複雑な計算に非常に向いておったのじゃ。これにより、昔は何年もかかったであろう学習が、ほんの数日で完了するようになった。二つ目は、インターネット上に膨大なデータが蓄積されたこと。AIが賢くなるためには、教科書となる大量のデータが必要不可欠。我々が日々ネットで見る画像や文章が、AIを育てる栄養となっておるのじゃ。」

ちろ姫: 「AIしゃんも、あたちみたいに、いっぱいいっぱいご飯を食べるから賢くなるんでしゅね!」

てち王: 「その通りだ、ちろ姫。そして、このAI革命は、ただ便利なだけではない。経済に計り知れないインパクトを与える。あらゆる産業…医療、金融、製造、エンターテイメント…その全てがAIによって効率化され、新しいサービスが生まれる。これは、かつてインターネットが登場した時や、スマートフォンが普及した時と同じか、それ以上の大きな変化の波なのじゃ。だからこそ、投資家たちは『この波に乗り遅れてはならない』と、AI関連の企業に注目しておるわけじゃ。」

ノンビリ・タートル: 「なるほど…。話のスケールが大きすぎて、甲羅にヒビが入りそうです。しかし、その大きな波の正体が少しだけ見えてきた気がします。それで、てち王様。投資をするとなると、具体的にどのような企業に注目すれば良いのでございましょうか?」

AI関連の注目銘柄は?米国と日本の注目企業

てち王: 「うむ。良い質問じゃ。ここからは少し専門的な話になるが、ついてくるのじゃぞ。AIへの投資と一言で言っても、実はいくつかの階層に分けて考えることができる。」

てち王は、ふわふわの雲でできたホワイトボードを引き寄せ、ニンジンの茎で図を描き始めました。

てち王: 「まず、ピラミッドの一番下、最も重要な土台となるのが【上流】、つまりAIを動かすための物理的な部品、特に『半導体』を作る企業じゃ。」

ちろ姫: 「はんどーたい?それも、おやつでしゅか?」

てち王: 「はっはっは。それは食べられんぞ、ちろ姫。半導体は、AIの『脳みそ』にあたる部分じゃな。特に、先ほども話した『GPU』は、AIの学習に必須の部品。このGPU市場で圧倒的なシェアを誇るのが、米国のエヌビディア(NVIDIA)という会社じゃ。AIブームの最大の恩恵を受けている企業と言っても過言ではない。世界中の企業が、彼らのGPUを欲しがっておる。」

ノンビリ・タートル: 「ほう、エヌビディア…!新聞で毎日のように目にする名前ですな。まさにAIのインフラを握っている、と。」

てち王: 「その通り。次にピラミッドの真ん中、【中流】。これは、AIモデルそのものや、AIを動かすための『クラウドサービス』を提供する企業じゃ。代表的なのは、マイクロソフト(Microsoft)アルファベット(Google)じゃな。」

てち王は続けます。マイクロソフトは、話題のChatGPTを開発したOpenAI社に巨額の出資を行い、自社のクラウドサービス『Azure』や検索エンジン『Bing』、Office製品に次々とAIを組み込んでいること。一方のGoogleも、独自の高性能AI『Gemini』を開発し、検索エンジンはもちろん、YouTubeやAndroidなど、自社の持つ圧倒的なプラットフォームにAIを統合し、反撃の狼煙を上げていること。この二社の巨大IT企業が、AIプラットフォームの覇権を巡って激しい競争を繰り広げているのです。

ノンビリ・タートル: 「巨大企業同士の壮大な戦いですな…。どちらに投資するべきか、悩ましい限りです。」

てち王: 「うむ。そしてピラミッドの頂点、【下流】。これは、AIという技術を使って、我々の生活に直接関わる様々な『アプリケーション』やサービスを提供する企業じゃ。例えば、画像編集ソフトで有名なアドビ(Adobe)は、自社のソフトに画像生成AIを組み込んで、クリエイターの作業を劇的に効率化させておる。他にも、世界中の無数の企業が、自社のサービスにAIを導入しようと躍起になっておる。」

ちろ姫: 「あたち、AIにお絵描きしてもらったことありましゅ!『キラキラのドレスを着たちろ姫』ってお願いしたら、すっごく可愛いの描いてくれたでしゅ!」

てち王: 「それこそが、まさに【下流】のサービスじゃな。そして、我らが日本にも、注目すべき企業はたくさんあるぞ。」

ノンビリ・タートル: 「おお!ぜひお聞かせ願いたいです。」

てち王: 「日本の強みは、やはり半導体を『作るための装置』や『材料』を作る技術じゃ。例えば、東京エレクトロンアドバンテストといった企業は、世界中の半導体メーカーにとってなくてはならない存在。AIブームで半導体の需要が増えれば、彼らの業績も伸びていく可能性がある。また、AIアルゴリズムを開発するPKSHA Technologyのような専門企業や、巨大な投資ファンドを持ち、AI関連のスタートアップに積極的に投資しているソフトバンクグループなども面白い存在じゃな。」

ちろ姫: 「わー!いっぱいありすぎて、あたち、わかんなくなっちゃった!もういいでしゅ!あたちのニンジン貯金をぜーんぶ使って、その…えぬびでぃあ?とかいう会社のニンジン券を買いましゅ!」

ぴょん!と立ち上がったちろ姫を見て、てち王は優しく、しかし諭すように言いました。

てち王: 「こら、ちろ。早まってはいかん。それこそが、投資で最もやってはならないことの一つなのじゃ。」

ノンビリ・タートル: 「と、申しますと…?」

てち王: 「AIが素晴らしい技術であることは間違いない。しかし、今のブームには『期待』が先行しすぎている側面もある。株価が、実際の企業の価値以上に高騰している可能性も否定できん。歴史を振り返れば、ITバブルのように、大きな期待が集まった後に、ブームが去って株価が暴落した例はいくらでもある。一つの銘柄に全財産を投じるなど、うさぎがニンジン畑を丸ごと一人の農家に任せるようなもの。もしその畑がダメになったら、冬を越せなくなってしまうぞ。」

ちろ姫: 「うぅ…それは嫌でしゅ…。」

ノンビリ・タートル: 「確かに…。わしのように慎重な者にとっては、一つの企業に集中投資するのは心臓に悪いですな。」

ブームとどう向き合う?未来への賢い投資法

てち王: 「その通りじゃ。AIという大きなテーマに投資したいのであれば、個別株だけでなく、関連する多くの企業にまとめて分散投資ができる『投資信託』や『ETF』という選択肢もある。例えば、米国のハイテク企業が多く含まれる『NASDAQ100』や、米国全体に投資する『S&P500』といった指数に連動する商品を選ぶのも一つの手じゃ。それならば、たとえ一社がダメになっても、他の企業が成長することでカバーしてくれる。」

ノンビリ・タートル: 「なるほど!それなら、わしのような者でも安心して始められるかもしれません。まずは少額から、コツコツと積み立てていくのが性に合っているようです。」

てち王: 「うむ、それが賢明じゃ。AIは、我々の暮らしと経済を根底から変える、長期的なテーマになるじゃろう。だからこそ、短期的なブームに踊らされるのではなく、腰を据えて、未来の成長の果実をゆっくりと待つ姿勢が大切なのじゃ。焦らず、学び、自分なりの考えを持って投資に臨むこと。それが、ふわふわ星の民にも、ノンビリ星の民にも、朕が伝えたいことじゃ。」

てち王の言葉に、ノンビリ・タートルは深く頷き、その表情は来た時よりもずっと晴れやかになっていました。

ノンビリ・タートル: 「てち王様、ちろ姫様、本日は誠にありがとうございました。おかげさまで、AIへの理解が深まり、投資への向き合い方も見えてまいりました。早速星に帰って、自分でも勉強してみようと思います。」

ちろ姫: 「タートルしゃん、また来るでしゅよ!今度はAIが考えた、最高に美味しい干し草クッキーをごちそうするでしゅから!」

ゆっくりと帰っていくノンビリ・タートルの背中を見送りながら、てち王は未来の空を眺めていました。AIが拓く新しい時代に、不安だけでなく、大きな希望を感じながら。

AIブームは本物か?その答えは、イエスであり、同時に注意が必要、ということなのかもしれません。この物語が、あなたの資産形成のヒントになれば幸いです。それでは最後に、今日の物語に出てきた大切な言葉をおさらいしておきましょう。


【今日の金融経済用語解説】

  • AI (人工知能):
    人間の知的活動をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムのこと。画像認識、音声認識、自然言語処理など、様々な分野で活用が進んでいます。特に、自ら学習して新しいものを創り出す「生成AI」の登場により、社会に大きな変革をもたらすと期待されています。
  • GPU (Graphics Processing Unit):
    元々はコンピュータの画像処理を専門に行う半導体でしたが、その構造が単純な計算を同時に大量に行う「並列処理」に非常に長けているため、AIの深層学習(ディープラーニング)に不可欠な部品となりました。この分野ではNVIDIA社が圧倒的なシェアを誇ります。
  • 半導体:
    電気を通す「導体」と通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質。スマートフォンから家電、自動車、そしてAIサーバーに至るまで、あらゆる電子機器に搭載されている「産業のコメ」とも呼ばれる重要な部品です。
  • クラウドサービス:
    インターネット経由で、データストレージやサーバー、ソフトウェアなどのコンピュータ資源を利用できるサービスのこと。自前で高価な設備を持たなくても、必要な分だけ利用できるため、多くの企業が活用しています。AmazonのAWS、MicrosoftのAzure、GoogleのGCPが三大クラウドサービスとして知られています。
  • 投資信託 / ETF (上場投資信託):
    投資家から集めた資金を、専門家が株式や債券など様々な資産に分散して投資・運用する金融商品。一つの商品を買うだけで手軽に分散投資ができるため、投資初心者にも人気があります。ETFは、投資信託の中でも証券取引所に上場しており、株式と同じようにリアルタイムで売買できるのが特徴です。