【結論】50代からのiDeCoは遅くない!むしろ始めるべき3つの理由と注意点をうさぎが解説
- 2025.10.25
- うさぎで学ぶシリーズ ライフステージ別マネープラン
- iDeCo, 投資初心者, 節税, 老後資金, 資産形成
宇宙のどこかにある、何もかもがふわふわな惑星、その名も「ふわふわ星」。この星の通貨は、甘くて美味しい「ニンジン」です。さて、今日のふわふわ星は、珍しいお客様で賑わっているようです。
ノンビリ星からの訪問者
ちろ姫「わーい!おやつ!おやつ!今日のおやつは、採れたてのりんごでちゅね!おいちい!」
ぴょんぴょん跳ねながら、ちろ姫は真っ赤なりんごを夢中で頬張っています。その愛らしい姿を、兄であるてち王は、優しくも少しだけ威厳のある眼差しで見守っていました。
てち王「ちろ姫よ、プリンセスたるもの、もう少し落ち着いて食べるのだ。口の周りにりんごの汁がついているぞ。」
ちろ姫「むー!あたち、まだ勉強中のプリンセスでちゅもん!」
そんな和やかな兄妹のティータイムに、のっそり、のっそりと一人の訪問者が現れました。ノンビリ星からやってきた、亀のノンビリ・タートルさんです。しかし、その表情はいつもの穏やかさとは違い、少し曇っているように見えます。
てち王「おお、タートル殿。ようこそ、ふわふわ星へ。して、どうされたのだ?そのお顔、何か悩み事でもあるのか?」
ノンビリ・タートル「これは、てち王様、ちろ姫様。おやつの時間にお邪魔してしまい、申し訳ありません。実は、最近どうにもこうにも眠れなくて…」
ノンビリ・タートルさんは、深いため息をつきながら、持っていた甲羅の形をしたカバンから、一枚の新聞を取り出しました。『老後の生活には2000万ニンジンが必要!?』…新聞には、そんな衝撃的な見出しが躍っています。
ノンビリ・タートル「わたくし、もうすぐ50歳になるのですが、お金のことなんて貯金しかしてこなかったものですから…。この『2000万ニンジン問題』を見て以来、不安で甲羅にヒビが入りそうでして。」
ちろ姫「2000万ニンジン!?そんなにあったら、りんごもお干し草も、毎日お腹いっぱい食べられまちゅね!」
てち王「こら、ちろ姫。タートル殿は真剣に悩んでおられるのだ。…なるほど。老後資金か。それで、何か行動を起こそうと考えているのだな?」
ノンビリ・タートル「はい。友人から『iDeCo(イデコ)』という制度が良いと聞いたのですが…。この歳から始めるには、もう遅すぎるのではないかと、一歩が踏み出せずにいるのです。てち王様、どうか朕…いえ、このわたくしに、知恵をお貸しいただけないでしょうか?」
てち王は、タートルさんの不安を察し、優しく頷きました。
てち王「うむ、承知した。タートル殿のその甲羅よりも硬い不安、朕がこのふわふわな知識で、マシュマロのように柔らかくしてしんぜよう。ちろも、未来の女王として、民の悩みに耳を傾ける良い機会だ。一緒に学ぶがよい。」
ちろ姫「あい!てち兄様!い…いでこ?それっておいちいの?」
こうして、ノンビリ・タートルさんの悩みを解決するため、てち王の金融経済教室が、ふわふわ星のお庭で始まることになったのです。
iDeCoが持つ3つの「すごい節税パワー」

てち王「ではまず、iDeCoとは何か、から説明しよう。iDeCoとは、一言で言えば『国が用意してくれた、めちゃくちゃお得な自分専用の年金作り制度』のことだ。自分で決めた金額を毎月積み立てて、自分で選んだ金融商品で運用し、60歳以降に年金、または一時金として受け取る。ここまでは良いかな?」
ノンビリ・タートル「は、はい。自分で作る年金、というイメージですね。」
ちろ姫「じぶんねんきん!あたちも、りんごを積み立てるでちゅ!」
てち王「うむ。その意気やよし。そして、なぜこの制度が『めちゃくちゃお得』なのか。それは、国が応援してくれている証として、3つの強力な税金優遇(節税)パワーが与えられているからなのだ。特に50代から始めるタートル殿のような方には、このパワーが絶大な効果を発揮する。」
てち王は人差し指をすっと立て、一つ目のメリットを語り始めました。
メリット①:最強の盾!『掛金が全額所得控除』
てち王「iDeCo最大のメリット、それは『支払った掛金の全額が、その年の所得から控除される』ことだ。…少し難しいかな?」
ノンビリ・タートル「しょとくこうじょ…?つまり、税金が安くなるということでしょうか?」
てち王「その通り!実に聡明だな、タートル殿。我々が国に納める税金(所得税・住民税)は、その年の『所得』、つまり稼いだニンジンに応じて計算される。所得控除とは、その計算の元となる所得から、一定の金額を差し引くことができる仕組みだ。iDeCoの場合、積み立てたニンジンが丸ごと差し引かれるのだ。」
ちろ姫「ぜんぜんわかんないでちゅ!もっとふわふわに教えてくだちゃい!」
ちろ姫がぴょんぴょん跳ねながら言いました。てち王は優しく微笑みます。
てち王「よし、ではこう考えよう。タートル殿が、ノンビリ星の運送会社で働いて、年間500万ニンジンの給料をもらったとしよう。本来なら、この500万ニンジンに対して税金がかかる。だが、もしタートル殿がiDeCoで年間24万ニンジン(月2万ニンジン)を積み立てたとすると、国は『お、タートル殿は未来のために頑張っているな!では、今年の稼ぎは500万ニンジンではなく、そこから24万ニンジンを引いた476万ニンジンだったことにしてあげよう!』と考えてくれるのだ。」
ノンビリ・タートル「おお!稼ぎが少なかったことにしてくれる!?」
てち王「そうだ。課税される所得が減るのだから、当然、納める税金も安くなる。例えば、所得税・住民税の税率が合わせて20%だったとしよう。24万ニンジンの20%、つまり年間4万8000ニンジンも税金が戻ってくる、あるいは安くなる計算だ。これは大きいぞ?」
ちろ姫「よんまん、はっせんニンジン!わー!それだけあったら、最高級のお干し草が買えまちゅ!すごい!国からおやつがもらえるみたいでちゅ!」
てち王「ははは、ちろの言う通りだな。これはただの貯金では決して得られない、iDeCoならではの絶大なメリットだ。そして重要なのは、この恩恵はiDeCoを続けている限り、毎年受けられるということ。50歳から60歳までの10年間続ければ、単純計算で48万ニンジンもお得になる可能性があるのだ。」
ノンビリ・タートルさんの目の色が、少しずつ明るくなってきました。
メリット②:育てる楽しみ!『運用で出た利益が非課税』
てち王「次に、二つ目のパワーだ。iDeCoはただ積み立てるだけではない。そのお金を、投資信託などの金融商品で『運用』、つまり増やすことを目指す制度だ。」
ノンビリ・タートル「と、投資…!やはりそれが不安で…。もし損をしたらと思うと、甲羅に引っ込んでしまいます。」
てち王「うむ、その気持ちはわかる。もちろん元本保証ではない商品を選べば、損をするリスクもある。だが、利益が出た時のことを考えてみよう。通常、投資で利益(運用益)が出ると、その利益に対して約20%の税金がかかるのだ。10万ニンジンの利益が出たら、2万ニンジンは税金として国に納めねばならん。」
ちろ姫「えー!せっかく増えたのに、取られちゃうんでちゅか!?」
てち王「そうだ。だが、iDeCoの口座内での運用ならば話は別。なんと、この運用益が丸ごと非課税になるのだ!10万ニンジンの利益が出たら、10万ニンジンがそのまま自分のものになる。税金を引かれない分、お金が効率よく育っていく。これを『複利効果』と合わせれば、その差は歴然だ。」
まるで、畑から採れたニンジンを、誰にも分け与えることなく全部自分のものにできるようなものだ、とてち王は付け加えました。
メリット③:出口もお得!『受け取るときも税金の優遇』
てち王「そして最後のパワー。iDeCoは、60歳以降に積み立てた資産を受け取る時にも、税金の負担が軽くなるように設計されている。」
ノンビリ・タートル「入り口(掛金)だけでなく、出口(受取時)もお得なのですか!?」
てち王「その通り。受け取り方には、一括で受け取る『一時金』と、年金のように分割で受け取る『年金形式』がある。一時金で受け取る場合は『退職所得控除』、年金形式の場合は『公的年金等控除』という、大きな控除枠が使える。多くの人は、この控除のおかげで税金をほとんど払わずに済むか、払ったとしてもかなり少額で済むのだ。まさに至れり尽くせりだな。」
3つのメリットを聞き終えたノンビリ・タートルさんは、すっかりiDeCoの魅力に引き込まれた様子です。しかし、彼の慎重な性格が、一つの疑問を投げかけさせました。
知っておくべき注意点と「50代の壁」
ノンビリ・タートル「てち王様、ありがとうございます。これほど素晴らしい制度だったとは…。しかし、何か裏があるのでは、と勘繰ってしまいます。まるで、甘い香りで誘い込む、コンコン星のフォックスさんのようで…。」
てち王「はっはっは。用心深いのは良いことだ。もちろん、iDeCoにも注意すべき点、デメリットはある。それを知らずに始めるのは、ウサギが罠に気づかずニンジンに飛びつくようなものだ。しっかり学んでいこう。」
てち王は、今度は少し真剣な表情で、デメリットを説き始めました。
デメリット①:最強の金庫!『原則60歳まで引き出せない』
てち王「まず、これが最大の注意点だ。iDeCoの口座に入れたお金は、原則として60歳になるまで一切引き出すことができない。」
ちろ姫「えっ!?途中で、どーしても新しいリボンが欲しくなってもダメなんでちゅか?」
てち王「ダメだ。iDeCoはあくまで老後資金を準備するための制度。途中で引き出せてしまっては、意味がなくなってしまうだろう?だから、この制度で積み立てるお金は、必ず『当面使う予定のない余裕資金』で行う必要がある。生活防衛資金や、近々使う予定のあるお金は、決してiDeCoに入れてはならん。」
ノンビリ・タートル「なるほど…。未来の自分のための、絶対に開けられない貯金箱なのですね。」
デメリット②:50代の壁!『受取開始年齢がスライドする可能性』
てち王「そして、ここがタートル殿にとって最も重要なポイントだ。iDeCoを60歳から受け取るためには、『通算加入者等期間』が10年以上必要というルールがある。」
ノンビリ・タートル「10年…!ということは、もし私が51歳で始めたら、60歳では受け取れないのですか!?」
てち王「そうだ。その通り。だが、受け取れないわけではない。受取開始年齢が後ろにスライドするだけなのだ。」
てち王は、地面に木の枝でスラスラと図を書いて説明しました。
- 50歳で加入 → 60歳まで10年 → 60歳から受取可能
- 52歳で加入 → 60歳まで 8年 → 61歳から受取可能
- 55歳で加入 → 60歳まで 5年 → 63歳から受取可能
- 59歳で加入 → 60歳まで 1年 → 65歳から受取可能
てち王「このように、加入年齢が遅くなると、受け取れる年齢も遅くなる。だが、メリットで説明した税金の優遇は、積み立てている期間中、ずっと受けられる。だから、『遅いから無意味』なのではなく、『受け取るタイミングが変わるだけ』と理解するのが正しい。」
この説明に、ノンビリ・タートルさんの顔から不安の色がすーっと消えていきました。「遅すぎる」という言葉の呪縛が解けた瞬間でした。
デメリット③:その他(手数料と上限)
てち王「あとは細かい点だが、iDeCoには口座を維持するための手数料が年間数千ニンジンほどかかる。金融機関によって違うから、なるべく手数料の安いところを選ぶのが賢明だ。また、職業によって毎月積み立てられる金額に上限があることも覚えておくといいだろう。」
50代からのiDeCoは「最高の節税戦略」である
すべての説明を終えたてち王は、温かい紅茶を一口すすり、穏やかにノンビリ・タートルさんに語りかけました。
てち王「さて、タートル殿。メリットとデメリット、両方を理解していただけたかな?その上で、50代からiDeCoを始めるのが『遅い』かどうか、もう一度考えてみよう。」
ノンビリ・タートル「…いえ、てち王様。遅くなどありませんでした。むしろ、私のような者にとって、これほど心強い制度はなかったのかもしれません。」
てち王「ほう。と言うと?」
ノンビリ・タートル「若い方に比べて、運用できる期間が短いのは事実です。大きな利益を狙うのは難しいかもしれない。しかし、毎年確実に得られる『所得控除』のメリットは、運用期間の長さとは関係ありません。 私の場合、先ほどの計算だと年間4万8000ニンジン…。10年続ければ、それだけで48万ニンジンも税金が軽くなる。これは、ほとんどリスクなく得られるリターンと言っても過言ではありません。運用がうまくいけば、さらにプラスになる…。」
てち王「その通りだ!完璧な理解だ、タートル殿。50代からのiDeCoは、資産を爆発的に増やすためのものではない。『最強の節税制度を、退職までのラストスパートで最大限活用する戦略』なのだ。同じく税優遇のある新NISAは、いつでも引き出せる柔軟性が魅力だが、この強力な所得控除はない。老後のための揺るぎない資金と位置づけるなら、iDeCoは今からでも始める価値が十二分にある。」
話を聞いていたちろ姫が、一つのりんごを大事そうに抱えながら言いました。
ちろ姫「わかったでちゅ!50歳で植えたりんごの木は、20歳で植えた木よりは大きくなれないかもしれないけど、それでも甘くておいちいりんごはちゃんと実るんでちゅね!それに、木を植えただけで、王様から毎年新しいリボンがもらえるみたいなものでちゅ!」
てち王「ははは!ちろよ、見事な例えだ。お前はきっと、素晴らしい女王になるだろうな。」
てち王に褒められ、ちろ姫は照れくさそうにりんごの後ろに隠れました。
ノンビリ・タートルさんは、すっかり晴れやかな顔で立ち上がると、てち王とちろ姫に深々と頭を下げました。
ノンビリ・タートル「てち王様、ちろ姫様、本当にありがとうございました。私の甲羅のように硬かった悩みが、すっかり軽くなりました。早速、ノンビリ星に帰ってiDeCoの手続きを始めます!これで安心して、長生きできそうです。」
夕日に照らされながら、希望に満ちた足取りで帰っていくノンビリ・タートルさんの背中を、てち王とちろ姫はいつまでも見送るのでした。
老後の不安は、年齢に関わらず誰にでも訪れるもの。しかし、正しい知識を身につければ、それは不安ではなく、未来への準備という希望に変わります。50代からiDeCoを始めること。それは決して「遅い」のではなく、今だからこそできる「賢い」選択なのかもしれませんね。

金融用語解説
本日の物語に登場した金融用語を、簡単におさらいしましょう。
- iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
- 公的年金に上乗せする形で、自分で掛金を出して運用し、老後の資金を準備する私的年金制度のこと。掛金が所得控除になるなど、税制上の優遇が非常に大きいのが特徴です。
- 所得控除(しょとくこうじょ)
- 税金を計算する元となる「所得」から、一定の金額を差し引くことができる仕組みのこと。iDeCoの掛金は全額がこの対象となるため、所得税や住民税が安くなります。
- 運用益(うんようえき)
- 投資信託などの金融商品を購入し、その価値が購入した時よりも値上がりした場合に出る利益のこと。通常はこの利益に約20%の税金がかかりますが、iDeCoの口座内では非課税となります。
- 通算加入者等期間(つうさんかにゅうしゃとうきかん)
- iDeCoに加入していた合計の期間のこと。この期間が10年以上ないと、60歳から年金資産を受け取ることができず、受取開始年齢が最大65歳まで繰り下げられます。
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