【保存版】投資初心者がやりがちな失敗10選|知らないと損する回避策を解説
- 2025.10.25
- うさぎで学ぶシリーズ リスク管理・失敗事例
- リスク管理, 投資 始め方, 投資初心者, 新NISA, 資産運用
ふわふわ星は、今日もすべてがふわふわ。綿菓子のような雲が浮かび、マシュマロのような地面がどこまでも続いています。この星を治めるのは、白と茶色の毛並みが美しい、ふわふわ星の王様「てち王」。そして、その傍らには、元気いっぱいの妹「ちろ姫」がぴょんぴょんと跳ねています。
将来、立派な王女になるため、ちろ姫は兄であるてち王から、星の治め方から経済のことまで、様々なことを学んでいます。今日も、何やら新しいことを思いついたようです。
ちろ姫: 「お兄様!てち王お兄様!あたち、すごいこと思いついたの!」
てち王: 「おぉ、ちろ姫か。今日も元気だな。して、何を思いついたのだ?朕に聞かせてみよ。」
落ち着き払ったてち王とは対照的に、ちろ姫は興奮してぴょんぴょん跳ねながら話し始めました。
ちろ姫: 「あたちのニンジンを、ぜーんぶ『キラキラ株』につぎ込むの!ピカピカ星のインフルエンサーうさぎさんが『絶対上がる』って言ってたもん!これであたち、明日にはリンゴ食べ放題よ!」
その言葉を聞いたてち王は、優しくも諭すような眼差しでちろ姫を見つめました。
てち王: 「ふむ…。ちろ姫よ、それは投資初心者がまさに陥りやすい、最初のワナだ。今日は、お前が将来、悪いキツネたちに騙されて大事なニンジンを失わないよう、投資の失敗例とその回避方法を10個、朕が直々に教えてやろう。」
失敗1:SNSや他人の情報を鵜呑みにする
てち王: 「まず一つ目。今お前が言ったことそのものだ。SNSやインフルエンサーの『絶対儲かる』という情報を根拠に投資をすること。これは非常に危険だ。」
ちろ姫: 「えー、でもキラキラ光ってて、すごそうだったよ?『爆益』とか『億りうさぎ』とか、みんな言ってたもん!」
てち王: 「言葉に惑わされるな。その人たちは、なぜその株が上がるのか、本質的な理由を説明していたか?企業の業績や将来性について話していたか?多くの場合、ただ流行っているから、という理由だけで無責任に勧めているに過ぎない。あるいは、自分たちが安く買った株を、お前のような初心者に高く買わせて利益を得ようとしている、コンコン・フォックスのような輩かもしれんぞ。」
ちろ姫: 「こ、コンコン・フォックス…!?」
てち王: 「そうだ。回避方法は、必ず自分自身でその投資対象について調べること。企業の公式情報(IR情報)を読んだり、信頼できる経済ニュースを参考にしたりして、なぜその企業に価値があるのかを理解することが肝心だ。他人の意見はあくまで参考に留めるのだ。」
失敗2:よくわからない金融商品に手を出す
ちろ姫: 「ふむふむ。じゃあ、こっちならどう?昨日、ノンビリ星のタートルさんが『“複雑怪奇仕組み債”はニンジンがたくさんもらえるらしい』って言ってたの!名前は難しいけど、たくさんもらえるなら良いよね!」
てち王: 「それも待つのだ、ちろ姫。二つ目の失敗は、自分が理解できない複雑な金融商品に手を出すことだ。『仕組み債』や『デリバティブ』といった商品は、特定の条件下で高いリターンを生む可能性がある一方、少し条件がズレるだけで大きな損失を生むように設計されていることが多い。プロでも判断が難しい代物だ。」
ちろ姫: 「プロでも!?あたちには絶対無理だ…。」
てち王: 「うむ。回避方法は至ってシンプル。自分がその商品で『どうやって利益が生まれるのか』『どんな時に損をするのか』を、誰かに説明できるレベルで理解できるものだけに投資することだ。最初は、投資信託のような分かりやすいものから始めるのが賢明だろう。」
失敗3:一つのカゴにすべての卵を盛る(集中投資)
てち王: 「先ほどお前が言った『ニンジンをぜーんぶ“キラキラ株”に』というのも、典型的な失敗例だ。これを『集中投資』という。もし、そのキラキラ株の会社が倒産したら、お前のニンジンはどうなる?」
ちろ姫: 「ぜ、全部なくなっちゃう…!干し草もリンゴも買えない…。」
てち王: 「その通り。三つ目の失敗は、一つの銘柄や資産にすべてを賭けてしまうことだ。これは、畑のニンジンをすべて一か所に植えるのと同じ。もし害虫が湧けば、全滅してしまうだろう?」
ちろ姫: 「うぅ…考えたくない…。」
てち王: 「回避方法は『分散投資』だ。ニンジンをいくつかの畑に分けて植えるように、投資先も様々な国や地域、様々な資産(株式、債券など)に分けるのだ。例えば、『S&P500』(米国の代表的な500社に投資)や『全世界株式(オルカン)』といった指数に連動する投資信託を買えば、それ一つで自然と世界中の企業に分散投資ができる。一つの会社が不調でも、他の会社が成長すればカバーしてくれる。」
失敗4:短期的な値動きで売買を繰り返す
ちろ姫: 「わかったわ!分散ね!でも、もしニンジン畑の価値がちょっとでも下がったら、あたち、心配で夜も眠れないかも…。すぐに全部引っこ抜いて、別の畑に植え替えちゃう!」
てち王: 「はっはっは。それこそが四つ目の失敗、短期的な値動きに一喜一憂して売買を繰り返すことだ。株価というのは、短期的には様々な理由で上がったり下がったりするもの。天気が毎日変わるのと同じだ。少し雨が降ったからといって、毎日種を掘り返していたら、ニンジンは育つかな?」
ちろ姫: 「育たない…。根っこが傷んじゃう…。」
てち王: 「その通り。下がった時に怖くなって売ることを『狼狽(ろうばい)売り』、上がっている時に焦って買うことを『高値掴み』という。これを繰り返すと、資産はどんどん減っていく。回避方法は、長期的な視点を持つこと。一度投資したら、少なくとも数年単位で、どっしりと構えるのだ。良質な企業の株やインデックスファンドは、短期的な上下を繰り返しながらも、長い目で見れば経済の成長と共に右肩上がりに成長してきた歴史がある。」
失敗5:手数料(コスト)を意識しない
ちろ姫: 「ふーん、じゃあ、どっしり構えていればいいのね!この前見つけた『ふわふわファンド』っていう投資信託、名前が可愛いからこれにする!」
てち王: 「待て待て。名前だけで選ぶでない。五つ目の失敗は手数料(コスト)を軽視することだ。投資信託には、買う時にかかる『販売手数料』、持っている間ずっとかかる『信託報酬(運用管理費用)』などがある。このコストは、お前が将来受け取るはずのニンジンを、毎年少しずつ削り取っていく厄介者だ。」
ちろ姫: 「え!あたちのニンジンが勝手に減っちゃうの!?」
てち王: 「そうだ。特に信託報酬は、年率1%違うだけで、数十年後には何百、何千ニンジンもの差になる。回避方法は、とにかく手数料の低い商品を選ぶこと。先ほども言ったS&P500や全世界株式に連動するインデックスファンドは、信託報酬が非常に低いものが多い。ネット証券などを活用し、販売手数料が無料(ノーロード)の商品を選ぶのも基本だ。」
失敗6:損切りのルールを決めていない
てち王: 「さて、ここまでは主に長期的な投資信託の話をしてきたが、もしお前が個別の企業の株を買うのであれば、これも重要だ。六つ目の失敗は、損切り(ロスカット)のルールを決めずに投資を始めることだ。」
ちろ姫: 「そんぎり…?ニンジンを切るのとは違うの?」
てち王: 「違う。損切りとは、『これ以上価値が下がったら、潔く諦めて売る』という自分の中のルールのことだ。多くの初心者は、株価が下がると『いつか戻るはず』と期待して持ち続けてしまう。しかし、そのまま下がり続けて、最終的に価値がほとんど無くなってしまうことも少なくない。これを『塩漬け』という。」
ちろ姫: 「しょっぱいニンジンは嫌だわ…。」
てち王: 「だろう?回避方法は、買う前に『もし株価が10%下がったら売る』『〇〇ニンジンの価格になったら売る』といった具体的なルールを決めておくこと。そして、そのルールを感情に流されずに実行することだ。傷が浅いうちに撤退する勇気も、投資家には必要なのだ。」
失敗7:生活のためのお金まで投資に回す
てち王: 「七つ目の失敗は、何よりも先に確認すべきことかもしれんな。生活に必要なお金まで投資に回してしまうことだ。」
ちろ姫: 「え?でも、たくさん投資した方が、たくさんニンジンが増えるんじゃないの?」
てち王: 「確かにそうだが、もし急に病気になったり、お城の屋根が壊れて修理が必要になったりしたらどうする?投資したお金は、すぐに引き出せないこともあるし、ちょうど価格が下がっている時期に売らざるを得なくなったら、大きな損失が確定してしまう。」
ちろ姫: 「た、確かに…。おやつも買えなくなっちゃう。」
てち王: 「そういうことだ。回避方法は、まず『生活防衛資金』を確保すること。これは、万が一の事態に備えて、普段の生活費の半年から2年分くらいを、いつでも引き出せる貯金として確保しておくお金のことだ。投資は、この生活防衛資金を確保した上で、さらに余った**『余剰資金』**で行うのが大原則だ。」
失敗8:「元本保証」「必ず儲かる」を信じてしまう
てち王: 「そろそろコンコン・フォックスが得意な手口の話をしようか。八つ目の失敗は、『元本保証』や『月利〇%』といった甘い言葉に騙されることだ。」
ちろ姫: 「元本保証って、ニンジンが絶対に減らないってことよね?最高じゃない!」
てち王: 「ちろ姫、よく聞け。投資の世界に『絶対』はない。銀行預金などを除き、投資と名の付くもので『元本が保証されていて、かつ高いリターンが得られる』ものは、すべて詐欺だと思っていい。それは、毒ニンジンに蜜を塗って、お前を誘い込もうとする罠だ。」
ちろ姫: 「ひぃぃ!こわい!」
てち王: 「回避方法は、うまい話には必ず裏があると疑うこと。特に、個人間の取引や、金融庁に登録されていない無登録の業者が持ちかけてくる話は、絶対に信じてはいけない。高いリターンには、必ず高いリスクが伴う。この『リスク・リターン』の関係を忘れるな。」
失敗9:NISAなどの非課税制度を活用しない
てち王: 「九つ目は、失敗というよりは『非常にもったいないこと』だな。それは、NISAのような国が用意してくれたお得な制度を使わないことだ。」
ちろ姫: 「にーさ?新しいお菓子の名前?」
てち王: 「違う(笑)。通常、投資で得た利益(増えたニンジン)には、約20%の税金がかかる。100ニンジン儲かっても、20ニンジンは税金として納めなければならんのだ。」
ちろ姫: 「えー!20ニンジンも!それだけあれば、最高級の干し草が買えるのに!」
てて王: 「だが、『NISA(ニーサ)』という特別な口座の中で投資をすれば、その利益が非課税、つまり税金がかからなくなるのだ。こんなに有利な制度を使わない手はないだろう?回避方法は、証券会社の口座を開設する際に、必ずNISA口座も一緒に開設すること。そして、まずはNISAの非課税枠を使い切ることから投資を始めるのが、最も効率的なのだ。」
失敗10:投資の目的や目標を決めずに始める
てち王: 「さて、最後だ。これまでの九つは具体的な手法の話だったが、最も根本的な失敗は、そもそも何のために投資をするのか、目的や目標を決めずに始めてしまうことだ。」
ちろ姫: 「目的?もちろん、リンゴと干し草をいーっぱい食べるためよ!」
てち王: 「うむ、それでも良い。だが、もっと具体的に考えてみよう。『20年後に、ニンジンを1万本貯めて、立派なプリンセスとして自立するため』とか、『30年後に、ノンビリ星に冬ごもり用の別荘を建てるため』とかな。目的によって、取るべきリスクの大きさや、選ぶべき商品も変わってくる。」
ちろ姫: 「そっか…。ただニンジンを増やしたいだけだと、どこに向かっているのか分からなくなっちゃうのね。」
てち王: 「その通りだ。ゴールが見えないまま船を漕ぎ出しても、嵐が来たらすぐに転覆してしまうだろう。回避方法は、投資を始める前に『いつまでに』『いくら』必要なのかを明確にすること。そうすれば、おのずと毎月いくら積み立てるべきか、どのくらいの利回りを目指すべきかが見えてくる。それが、長期的な投資を続けるための、何よりの道しるべになるのだ。」
てち王の話を真剣に聞いていたちろ姫は、ぴょんぴょん跳ねるのをやめ、何かを深く考えているようでした。
ちろ姫: 「お兄様、ありがとう!あたち、インフルエンサーうさぎさんの言うことだけじゃなくて、ちゃんと自分で勉強する!そして、あたちのニンジンを、あたちの未来のために、大事に育てるわ!」
てち王: 「うむ。それでこそ、ふわふわ星のプリンセスだ。焦る必要はない。一歩ずつ、着実に学んでいけば良いのだぞ。」
優しく微笑むてち王と、決意を新たにするちろ姫。ふわふわ星の経済学教室は、これからも続いていきそうです。

用語解説
- インデックスファンド:
S&P500や全世界株式(オルカン)のような、特定の市場指数(インデックス)と同じような値動きを目指す投資信託。運用コストが低い傾向にあり、初心者におすすめされやすい。 - 分散投資:
投資先を一つの資産や銘柄に集中させず、複数の対象に分けて投資することで、リスクを低減させる手法。「卵は一つのカゴに盛るな」という格言で知られる。 - S&P500:
米国の代表的な株価指数の一つ。米国の主要な500社の株式で構成されており、これに連動する投資信託は、米国経済全体の成長の恩恵を受けることを期待できる。 - 全世界株式(オルカン):
正式名称は「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」など。その名の通り、日本を含む先進国や新興国の株式市場全体をカバーする指数。これ一つで世界中に分散投資ができる。 - 信託報酬(運用管理費用):
投資信託を保有している間、継続的にかかるコスト。純資産総額に対して年率〇%という形で毎日差し引かれる。長期投資においては、このコストの低さがリターンに大きく影響する。 - NISA(ニーサ):
少額投資非課税制度。個人の資産形成を応援するために国が作った制度で、NISA口座内で得られた金融商品の利益が非課税になる。2024年から新NISA制度がスタートし、より活用しやすくなった。
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